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青春のあぶり出し

名古屋から関西本線に乗った。

名古屋07:43発。「快速みえ」に乗って四日市08:16着、そこで亀山行に乗り換える。亀山から先は柘植、貴生川、そこで信楽高原鉄道に乗り換えて、信楽焼を見に行くつもりだ。四日市から先は、はじめて乗る路線だった。

「快速みえ」は指定席1両、自由席3両の4両編成。自由席の2号車に乗った。名古屋を出ると、次は桑名と四日市に停まる。関西本線はふつうなら四日市を出ればそのまま、亀山に着く。ところが、「快速みえ」は四日市から亀山を通らず、鈴鹿を経由して津に行く。そう、JRを通らずに伊勢鉄道でショートカットするのだ。

桑名駅を出ると、アナウンスがあった。

「青春18切符でご乗車の方は、四日市から津までは別料金になります。車中でご精算ください」

四日市まで10分程度、走り続ける。その間に車掌が車内をまわるらしい。

2号車で様子を見ていると、手をあげて精算する人が何人かいた。年のころで、70代とみうける男の人がひとり、同じく、60代がひとりずつ別々に3人、都合4人が手をあげた。

共通点は、ひとり旅。リュックをもち、帽子をかぶり、ウォーキングシューズを履いている。わたしも同じだった。

窓から外をながめ、本を読み、目をつぶって考え事をし、それぞれに「青春」を楽しんでいたのが、車掌さんのアナウンスで、あぶり出されたかたちになった。

青春18切符には、「あぶり出し」が潜んでいる。