略字の世界~その3~活字の現代も略字は進化していた!
略字の話
以前書いた略字のお話↓↓
この2つの略字の記事は、お字書き道TALKSのnoteの中でも人気!があります。記事を引用紹介してくださる方がいらしたり、X(旧Twitter)でもピックアップしてくれた方もいらしたり。
そのとき、
「略字はもう生まれないのかもしれない」
と筆者は予想していました。その理由は、略字は基本的に手書きにおいて「楽に書けること」を主目的としていて、手書き文字がほぼ廃れてきたから。タイプするフリックするのが普通である現代では、漢字変換は実に容易であり、画数の多い難しい文字も表示するのも難なくできるから。
でも、今回こんなのを見つけました。
この話のYouTube版はこちら↓↓
変換できる文字は増えている
このプロポーザル(提案)はつまり、PCで変換できるようにUnicodeに登録しようというもの。
確かに、最近昔に比べてかなり変換可能な文字が増え、また文字化けすることが減ったように思います。もちろんデバイスによるとは思いますが、まったくマニアックな外国語だってかなりの範囲で変換ができる・・・!
この世に存在し、ある程度市民権を得ている文字は、どんどんとPC上で変換可能の方向に動いているというのが現状のようです。
Unicode追加提案されている文字
では、今回見つけたプロポーザル。どんな文字が挙げられているのでしょうか。
慶應
まずはこれ。ちなみにまだれに「K」のみで「慶」、「O」のみで「應」の文字もリストにありました。まあでもどうせ略すなら、二字ともまだれなわけだし、ひとつのまだれにKOの方が便利。
もう複雑すぎて略したい!という慶大生からの要望でしょうか。
憲
これも過去記事で取り上げたひとつ。憲法の「憲」。法学を志す人は文字を手書きする機会が多く、頻出文字である「憲」をこのように書くのは、その界隈では比較的メジャーであるようです。
ちなみにこの世界では「権」=「权」(中国の簡体字)と書くことも多いようですが、こちらは簡体字なので既に表示可能です。
寮、僚、療
ウ冠、人偏+ウ冠、病ダレ、どれも「リョウ」と音読みします。まあ確かに書きづらいし「R」でいいかという気もします。
前
これは現在70歳くらい以上の方だと普通に使っている場合も見受けられます。「前」という文字の草書体からできています。右の手偏の方は「揃」(そろえる)の文字。
府
これは府民だけではなく、書くこともありそうではある。いやでも、都道府県の筆記が必要なとき、略字で書いてよいシーンはかえってないとも思います。
園
「圓」かな?と思いましたが、こっちの「圓」。「動物園」「植物園」「公園」などで使えます。
コンクリート、セメント
おもしろ!確かに「土」感あるし、カタカナで数文字取るくらいなら、この方が便利かも。画期的。
もっと沢山あるので、気になる方はこちらを見てみてください!
おそらく手書きで楽をするためではない
法学界隈の人が「ウ冠+K」「权」、薬学界隈の人が「草冠+ヤ」などと、ある特定の集団において頻出する漢字を手書きするのに略すのは、筆記を楽にするため。
今回挙げられている略字も、多くは1960年代頃に考案されたものと言われています。学生運動が盛んだった頃、ビラや立て看板に使用された手書きのゲバ文字がそれです。
しかし、今回Unicodeに登録が希望されているというのは、あくまでPC等の画面上で変換や表示を可能にするためのもの。変換するなら、通常の文字の方が優先表示されるわけなので、略字と言えども逆に手間取ります。
さらに言えば、世間にあまり浸透していない略字の場合は、略されてあるがために意味が伝わらない、という事態も起きそうです。
ではなぜ、これら略字の登録希望があるのか。
・かつてのゲバ文字のような雰囲気を出したい
・独自の集団で生まれた文字の文化を根絶やしさせたくない
と言ったところなのかなと思います。
自分が創った略字がUnicodeで変換できるというのは、何だか新種の生物に自分の名前が付いた!みたいな感動もありそうです。
流行らせたい略字、作ってみては・・・!
noteのスキ♡はアカウントがない人でも押せるので、記事が面白かったと思った方は是非スキ♡押していってくださるととっても嬉しいです!
フォローも感謝感激!
※毎週火曜19時更新
『YouTube』も『Podcast』もよろしくお願いいたします↓↓↓
○YouTube
よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!