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濁点の在りどころを考える
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前回、濁点の歴史について追ってみました。
まだ未読の方はぜひとも↓^^↓
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今回は、濁点を打つ場所、マニアック濁点回です!
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濁点の正しい?!位置、書き順
日本語における濁音は、基本的に次の20文字18音。
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じ/ぢ、ず/づ、は音として区別はされていない。
また、現代ではほぼカタカナのみにおいて「ヴ」は一般的に使われるが、日本語に本来存在しない子音。有声唇歯摩擦音 [v]の音を仮名で表すために用いられる。
その他、漫画等の表記で「あ”」「ん”」なども見かけることもある。
濁点の点二つは、通常文字本体の右上に、文字に近い方から書きます。
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文字の右上部分に 1→2の順番で書く
何をそんな当たり前なことを・・・というわけですが。今回筆者が調査してみた限りでは、濁点の位置や書き方を詳細に取り決めた行政の資料を見つけることはできませんでした。実は濁点の位置や書き方などはそれほど細かく決まっているわけではない、と言えるのかもしれません。
濁点の位置の工夫
前回記事の最後の段落で書きましたが、書道の場合は濁点は必ずしも濁音を書く一文字ごとに書いていません。例えば「ありがとうございます」であれば、「ありかとう」と書いて「か」に点々を、「こさいます」と書いて「こ」「さ」に点々を書いていたりします。
また、フォントの場合は、一字一字、正方形の中に濁点を納めないといけないため濁点の場所は自ずと限られてきますが、手書きの場合は比較的自由が利きます。
下の図はそれぞれフォントを用いていますが、調整ありとした方は、濁点を別で作って場所などを工夫しました。調整ありの方が少し明るくゆったりとした見た目になっている?のではないでしょうか。些末と思えるかもしれませんが、画面の印象づくりとはこういった些細なものかなと思います。
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▼ 申し上げます
「け」の右上近くに濁点があると直前の「上」の横画があって混雑してしまうので、やや下の方に下げ、濁点の点と点の間を広くしてゆとりを持たせました。
▼ ありがとうございます
「ご」「ざ」と二字の濁点が続くため、「こ」の濁点はやや小さく軽めに、「さ」の濁点はゆったりとやや下の方に打ちました。
筆者は講師として、一般的なきれいな文字の書き方などを教えていたりしますが、その際「センセイ!濁点の位置なんて考えてるのですか!」と驚かれることがままあります。そりゃあ文字の一部ですから。小さくてたまにしか出てこないとは言え、濁点も画面構成の大切な一部分として扱っているのです。
濁点さまざま
さてここからは、濁点さまざまということで、フォントやデザイン文字の色んな濁点を集めてみました。
身近なフォントの例
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まずは、Windowsに標準搭載されているフォントから。
赤丸を付けた文字を見ると、「濁点は文字の右上に書く」と常識(?)もすぐに打ち破られます。「ぐ」「で」はフォント制作の枠的に斜め上にはスペースが残っていないのでしょう、下側に濁点が付きがちです。
また、創英角ポップ体を見ると分かりやすいですが、濁点が本体文字を侵食しています。その他のフォントでも、「ぼ」は二画目の横線は「ほ」に比べて短く調整されています。
以前フォントの話(「銀河鉄道の夜」ジョバンニくん活字拾いの時代からデジタルフォントへ。楽しい秋の夜長。)を書いてから、フォントやフォント制作に俄然興味の湧いた筆者ですが、私たちが何の気なしに使っているフォントも緻密なデザインの結晶なのだなあ・・・。
手書きフォントの例
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手書きフォントの場合は、それぞれ文字によって濁点は微妙に変化があります。左の二つの筆文字フォントも、制約の中で濁点の在り方を工夫していることが感じ取れます。
「ようじょフォント」は今回初めて発見したフリーフォントですが、子どもって確かに「し」の濁点をそこに打つ気がします。揺れや幅の不安定さが手書きの味と言えます。
面白フォントの例
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「ニコモジ+」は個人的に好みなのですが、濁点がまんまる。「げ」「ご」「ば」「び」など、もはや右上ではなく文字の上に付いています。アクセント記号の「ä」「å」こういうものを思い浮かべてしまいます。
「コミックホラー」のフォントは本体文字に比べて濁点は結構安定している感じ。
「ピグモ」も今回初めて発見しましたが、(驚きと感動でサムネにも使ってしまいました!このフォントは一文字ずつ異なるデザインが施されているという変わりフォント。なのに単語や文章にすると不思議な統一感がある!すご!)濁点も一文字のデザインとして一つずつとても考えられていることが分かります。
※他にも魅力的なフリーフォントが盛りだくさん!のもじワク研究さん。
どうしても紹介したかったので挟みます。
濁点いろいろ
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これらはフォントではありませんが、文字デザインの世界は実に奥深く、濁点ひとつとっても無限と言っても良いほどのデザインがあります。かなり斬新な位置や形であっても結構普通に読めてしまうのが不思議。
※下記の本より抜粋させていただきました。
「まちの文字図鑑 よきかなひらがな」松村大輔 著
「新装復刻版 現代図案文字大集成」辻 克己 著
あとがき
たかが濁点、されど濁点。
前回は濁点の歴史、今回は濁点のデザインを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
私たちは日々とっても多くの文字に囲まれて生活しています。その文字を面白く見ることができれば、日々の暮らしがワントーン明るく見えるのでは!と思います。
お字書き道TALKSは、「書道や文字って面白いし楽しいよ!」と何とかお伝えしたい!というわけです。
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