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時に裁判騒動!キラキラネームは伝統文化!?明治・大正時代の実名実例集【2/3】

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今後キラキラネームが付けられなくなるかも?!というニュースから書き始めた記事ですが、第1回はこちらからご覧ください↓↓↓

この話のYouTube動画はこちら↓↓



おさらい ~命名の掟~


名づけに用いることができる文字は以下の通り。

1.常用漢字表の漢字(2,136字)
2.人名用漢字(863文字)
3.カタカナ、ひらがな(濁音、半濁音、拗音、撥音、促音、小書き、ヰ、ヱ、ヲ、ゐ、ゑ、ー、ゝ、ゞ、々)

出生届には読みがなの記載欄があるが、戸籍上は読みがなの登録がなく、上記の文字を使えば何と読ませても問題ないことになっています。

命名で起きた裁判騒動


ここで、過去に命名で起きた騒動についてみておきましょう。

悪魔ちゃん


30代後半の筆者くらいの世代にはやはり1993年の「悪魔ちゃん命名騒動」が記憶にあるのではないでしょうか。今からちょうど30年前。

筆者は、「子どもに『悪魔』という名前を付けようとしたが行政にそれを拒否され、やむなく別の名前を付けた」と思っていましたが、

「悪魔」の名前の出生届を提出
⇒市役所が受理せず、保留、法務省に相談
⇒法務省より両親に別の名前にするように指導
⇒父親が不服申し立て
⇒家庭裁判所は「悪魔」で登録手続きせよとの判断
⇒市はすぐさま抗告、この時点で父親が不服申し立てを取り下げ
⇒別の名前を提出して騒動が終了

という流れだったようです。ちなみに、7月末に生まれた子の正式な戸籍の名前が付いたのは翌年5月末。10か月もの間、呼びかけや通院等はどうしていたのかなと思います。

しかしそもそも、法律的に名づけにおいて「常用平易な文字を使うこと」という決まりしかありません。「悪」も「魔」も常用漢字であり、表面的な解釈においては何の問題もない、と言わざるを得ない。裁判所としては感情を挟まない法律に則った判断をしたわけです。一方で、市側は人道的な面を問うてそれを阻止しようとし、裁判所の結果は違ったものの、結果的には市側の希望が通った結果になりました。

命名権について問題となったほとんど初めての事例ということで社会全体に広く知られる騒動となりました。


王子様様


これは記憶に新しいと思いますが、2019年に当時18歳の「王子様」さんが「肇」さんに改名した件。ご本人が自らの意思をもって改名を望み、家庭裁判所に申し立て認められました。当時ご本人が発信していたTwitterも沸いていました。

ちなみに、戸籍の改名は誰もが簡単に行うことはできません。然るべき理由を添えて家庭裁判所の許可を得る必要があります。15歳以上であれば本人が申し立てることができます。

「王子様」の場合は「1.奇妙な名である」に該当し裁判所もこれを認めたということです。

実際の「名の変更許可申立書」の部分


改名をする人は年間約4000人、申立て件数の7割が通る


2019年のNHKの調査によると改名を希望し認められるのは年間4000人ほど。申立件数はおよそ6000件ほどなので7割くらいの許可が下りるようです。

改名の理由は様々ですが、社会的に不都合が生じている場合には改名が認められるケースが多いようです。

・異性の名前への変更
・名前の漢字が読まれなさ過ぎて不都合
・元受刑者、またその家族が社会生活を円滑にするため
・DV等を受けていてそれから逃れるため
・出家した    など

意外なことに?ここ20年間くらいで改名の申立て件数は減少傾向昭和30年~50年の間は申立て件数は10000件を超えていました。


キラキラネームは今に始まったことではない


昔の方が名前を変えたい!と実際に行動に出る人が多かったのは、珍名奇名が今よりも多かったのかもしれない。

と、探していたらこんな本↓↓に出会い、名前辞典好きな筆者は思わずヤフーオークションで仕入れてしまいました。1929年のものなので旧字たっぷりの歴史的仮名遣いの文章で非常に読みづらいのですが、基本は名前集なのでぱらぱら眺めているだけでも楽しい!

「姓名の研究 附・難訓姓氏辞典 奇姓珍名集」荒木良造 1929年(昭和4)発行 第一書房

荒木良造さんという方が様々な資料から集めてきた氏名集。発行が昭和4年なのでほとんど大正・明治の名前と思われます。(名前だけでなく苗字についても載っています。)”キラキラネーム”かどうかは置いておいたとしても「ん?」と思う名前は今に始まったことではないのです。

それにしても、残念なことにやはり読みがなの記載がほとんどない・・・!


昔(大正・明治)のキラキラネーム


筆者チョイスで昔のキラキラネーム?珍名奇名について挙げておきたいと思います。(最初の3つ以外はすべて「姓名の研究 附・難訓姓氏辞典 奇姓珍名集」より。読みがなが掲載されているものについてはカタカナで記載。すべて敬称略とさせていただきます)

・シカ野口英世のお母さんの名前
・イヌ(野口英世のお姉さんの名前)
・サイ(筆者の近所のおばあちゃんの名前)
・とり(発音は「鳥」ではなく「取りに行く」の「取り」と思うけど)
・うし(「とり」に同じく、「牛」の発音ではなく「う」にアクセントかな)
・大統領(何て読むのかは不明…。王子様と同じ方向性)
・次郎三郎(次男三男兼ねて・・?)
・余所五郎(ヨソゴロウ?なぜ)
・白妙の富士子(長いけど、現代はこの発想はない気がする)
・明治太郎新吉(長いけどコレはなんかいいね!)
・一一(カズヒト。ふむ)
・二三四五(ニサシゴ。数字の名前はかなり各種ある模様)
・八百人(ヤオト。800人と考えると何故って感じだけど八百万(やおよろず)とか八百屋(やおや)を思えば納得か)
・猪虎馬(チョコマ、と読むのだそう)
・青鬼(アオオニさん、ちなみに弟は赤鬼(アカオニ)さん)
・投鬼(ということは、「投悪魔」だったらどうだっただろう)
・鍋吉(ナベキチくん)
・ふた(鍋吉くんの妹の名前)
・彌榮(新字では弥栄。イヤサカと書いてヤエと読む、粋)
・反吉(なんか、イイネ)
・美能留(ミノル。これ系の当て字はこの頃からわんさかあった)
・友人(いそうでいない気がする)
・必達(必勝がいれば必達もいる。森田 必勝は(1945‐1970 三島由紀夫と共に自決した人)マサカツと読む)
・醜男(それこそ受理されなさそうだけど)
・不美夫(多分フミオだとして、何も「不」を当てなくて良いのに)
・不器雄(・・。)
・とら尾(女性の名前。男性っぽい名前を女性につけることはこの頃にも多々あった)
・佛(生きながらして仏さま)
・不可止(フカシ。カッコいいかもしれない)
・不殺人(なんて読むのか不明だけど、きっと想いがあることでしょう)
・林(苗字は「森」。ちなみに姓名逆パターンもあった模様)
・東(苗字は「東」。アズマヒガシ)
・平平(苗字は「平平」ヒラゲヘラヘツペイ。特殊な苗字を活かして姓と名が同じ事例は散見される)
・〆太郎(〆は現在は使えない漢字)
・ゝ(シルシ。現在は前の文字の繰り返しとしてしか使えない)
・ー(ススム、タテイチ。漢数字の「一」ではなく長音記号)
・ゝ〇ー(チョンマルススム。本当か!?)
・¬(カネ。色んな記号が使えたらしい)
・出来多(デキタ。何周か周って良い気がする)
・レート(大正の頃はカタカナの名前も珍しくない(筆者の祖母もマサエ)が、これはひと際目を引く)
太鹿師(タカシにこんな文字があったとは。キラキラネームの一つの部類に当て字があると思うが、ずっと前からの習わし)

「姓名の研究 附・難訓姓氏辞典 奇姓珍名集」において読みがなが記載されて入ればもっと楽しそうなのに・・・、と思うばかりです。

この本の名前紹介(面白エピソード含め)もっとしたい・・。また別建てでやろうかな。

やはり読みがなの戸籍登録は必須・・・というわけで、いよいよ現代の法改正案について最終回で迫っていきたいと思います。


それでは!


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