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教科書体に見る「美文字」-見本にするなら教科書体-

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左:書道家タケウチ 右上:書道家板谷栄司with鯖大寺鯖次朗 右下:ジャズギタリストタナカ


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教科書体って?


HGP教科書体

教科書体とは、上のような文字の風合いのフォント。主に「小学校の教科書で使われる筆書きの楷書体に近いもの」を指します。まさにその名の通り。
「教科書体」は「小学校学習指導要領」の「国語」に「別表」として示されている「学年別漢字配当表」(なぜか画像)にある漢字書体にしたがって作られたもの。

「学年別漢字配当表」「第一学年」は明朝体、習う漢字そのものは教科書体
(出典:文部科学省

ちなみに、ゴシック体/明朝体はこちら↓↓

HGPゴシック体M/HGP明朝体B

主な特徴を挙げると、こんな感じ↓↓

▼教科書体
 小学校の児童が筆写する際の手本にできるよう工夫された、より手書き文字に近い書体。
▼ゴシック体
 線の太さが一定で、文字の認識がしやすい。視認性が高い。一般的に見出しに使われる。
▼明朝体
ウロコ(セリフ)があり、太細がある。文章の可読性が高い。一般的に文章の本文に使われる。 

これらの特長を持った書体一般のことをこのように呼びます。教科書体、ゴシック体、明朝体、それぞれに数多くの種類が存在します。


小学校は教科書体、中学校は明朝体


筆者は今回初めて知りましたが、教科書の本文に用いられる書体は、小学校が教科書体、中学校は明朝体、なんだそうです。

(出典:教育出版
(出典:開隆堂出版株式会社

先述の通り、教科書体は小学生が筆記することを念頭に置いて作られたもの。基本的な文字を習得途中の小学生には、より手書きに近い文字の書体=教科書体が教科書の本文に使われています。

一方で、文字の習得が進んできた中学生には、一般的な書籍や新聞などで用いられることが多い明朝体が多く使われます。社会に出たときに不自由のないようにという配慮がうかがえます。


明朝体をお手本にしないで!するなら教科書体


筆者は「フォントを美文字(手書き)のお手本にしないで!」と言ったことが多々あります。それは本当です。フォントはそもそも一定のサイズの枠の中で、縦書き時も横書き時も美しく見えるように細かく微調整されたもの。

それを手書きの際に真似をするのは土台無理な話です。

また、明朝体が一見美文字に見える(筆文字っぽい)のですが、手書きの美文字とは大きく異なる構造をしています。

ゴシック・明朝の「糸」は、この通りに書こうとすると画数も変わってしまう。線の位置も変わってしまう。「表」「北」も同様。
「美」は横線の長さが、教科書体とゴシック・明朝で異なる。
「口」は接筆のあり方が、教科書体とゴシック・明朝で異なる。
ゴシック・明朝は、横画が水平、教科書体はやや右上がり。

これを見ると分かるように、ゴシック・明朝は線のデザインこそ違えど、似たような作り方をしています。教科書体だけ異なるのです。

教科書体は手本にしても良いように作られた、言わば手書きのようなフォント。逆に言えば、最も一般的な書体であるゴシック・明朝とは手書き文字とは異質のものであると言えるでしょう。

フォントを美文字(手書き)のお手本にしないで!」と方々で触れ回ってきた筆者ですが、「もし、フォントを美文字の手本にするなら教科書体で!!」と付け足すことにします。

もちろん今でも、本当の手書きの方がより分かりやすく参考になるとは強く思っています。文字の間隔、文字の大小、線の緩急など。
でも、ピンポイントでこの文字の美文字の書き方を知りたい!と思ったときに手本が存在しない・・・なんてことも多々あると思うので、その場で変換できるフォントはとても便利だと思うのです。

そう言えば、ある小学校の書き初めの名前の手本は教科書体で印字されていたな。その時は絶対手書きの方が良いのになーと思いましたが、先生が字が苦手、あるいは時短のためにそうされたのかなと思います。

教科書体に見る美文字のポイント

①横画ちょっと右上がり

美文字ポイント「ちょっと右上がり」。やり過ぎも良くないけれど、ちょっと右上がりはカッコよく見えます。
※ゴシック・明朝は横画水平。

②上部のパーツちょっと右上がり

①と同様に、右上がりの法則。上部のパーツの左右対になっている漢字のものは右を高めに。
※ゴシック・明朝は水平。

③偏はアシンメトリーに

左右にパーツが分かれる漢字の左側を偏(へん)と言いますが、これをシンメトリーに書いてはいけません。下の図だと「秋」が最も分かりやすいですが、横画と縦画がクロスする場所は偏において右寄り。ほんとの手書きならもっとやっても良い。あと、偏は右上がりにするのもポイントです。
ゴシック・明朝の「話」「輪」のように、単純に「言」「車」を細長く書くのが偏ではありません。

④接筆(四角の線の組み入り方)

「口」の丸が付いている箇所に注目してください。手書きの場合、一般的に最終画の横が少しだけはみ出ます。
ゴシック・明朝では縦が出ていますが、この方が美しいからなのだと思いますが、通常手書きはこうなりません。
このことは、「口」が漢字のどこに現れても適用される…と思ったら、「品」の1,2個めの「口」、「呂」などは教科書体でも縦がはみ出ている…!
まあでも、手書きの場合は、全ての「口」パーツにおいて横が出る、で問題ないと思います。

⑤高さを変える

こういった、おおざとなどの縦画で終わる漢字は、最終画の縦画を長くして、左側との差を持たせると良く見えます。教科書体は四方のマスの制約の中でそれを最大限やろうとしていることが分かります。
同じフォントサイズの場合、教科書体はゴシック・明朝よりも小さく見えるのはそのためです。

⑥起筆

筆者が方々で言っている美文字の極意「起筆」。各線の出だしのことを言います。
起筆に関しても、ゴシック・明朝より断然教科書体が参考になります。教科書体のように起筆の形をこだわってみると良いと思います!



いくつか美文字のポイントを教科書体において見てきました。美文字のポイントは他にもあるわけですが、教科書体とゴシック・明朝を見比べることで明確になるポイントもあったのではないでしょうか。

手本は、できれば、自分がキレイだと思える人が書く手書きのものが最も望ましいですが、教科書体もある程度参考にして良いと思います。

自分の名前だけは本物の手書き美文字でキレイに書きたい!という方は、ぜひ筆者の主宰するワークショップへ・・・!笑

丁寧に解説しますので、お気軽にいらしてください^^



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