略字の世界~その2~(略字はもう生まれないのかもしれない)
漢字って様々色々超沢山あるもの。その中でも「略字」を取り扱っています。
その1を読んでいない方は是非↓↓↓
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略字は、ざっくり言えば、正式な文字から省略が行われた文字。
その1では、「門」「曜」「第」「職」「魔」「機」の略字をご紹介しました。今回はそんな略字アリ!?というちょっと珍しい略字をご紹介します。
「寮」
なるほど、「リョウ」→「RYO」の「R」をウ冠の下に置いたと。「機」=「木キ」、「魔」のまだれ+「マ」よりも一歩進んだ感じ。何せ漢字のパーツではなく異種のアルファベットを持ってきてしまうのだから。
「慶」
先の「寮」と同じアルファベットパターン。「慶」の字は「慶応大学」でよく見かけますが、確かに自分が慶大生なら使うかも・・・?
ちなみに慶応の「応」は新字体で、「應」が旧字体ですから「慶応」でもすでに略字になっています。さらに、
なんて書き方もあるのだとか。まだれが2字続くからもう一字にまとめてしまえ!と。
「憲」
「慶」の略字と混乱しますが、これはウ冠にKで「憲」。主に法学をやる人たちの中で使われるそうです。
ちなみに司法試験は令和の今も大量の手書き文字を指定時間に書くという試験方法を採っていますが、そこでは略字はNGです。
「権」
こちらも法学系の方たちが使う略字。これは略字というか中国語の簡体字そのものです。ちなみに、「権」は新字体、「權」が旧字体なので、「應」と同じく二重の省略がされていることになります。
「濾」
頻繁に濾過する人たちの間(化学系の分野の人たち)で使われるそうです。一般的にはもはや「ろ過」とひらがなで書くことが多いもの。
似た字に「爐」がありますが、この字はれっきとした新字体として「炉」の文字があります。
「傘」
「傘」よりもこちらの方がカサの形を素直に表しているような!「傘」はそもそも象形文字で「人」の部分は傘の骨組みらしいのですが、ならばそんなに複雑にしなくても良かったのは・・・。
「ます」
これまで紹介してきた略字で最も認知度が高いかも?変換でも出すことができます。酒の升に見立てた絵文字の洒落です。
お店の店頭などで、「冷やし中華あります」の代わりに「冷やし中華あり〼」と書かれているのを現代でも見かけることがあります。
略字はうちら(内輪)の文字
略字は、基本的には字典には載っておらず、変換できるものも少ないものです。多くの略字は、それを沢山記述する必要のある人たちの内輪で作られたもの、と言えそうです。
その世界の住人でなければ、それらの略字を生み出すことも、使うことも必要がない。したがって、それらの略字を読むことができません。
女子高生のことを「JK」と書いたりするのも略字と言えますが、うちらの世界を作る一種の暗号のようなものとしても機能していそうです。
手書き文字の機会は激減。書くのは自分の名前だけ!?
時代とともに電子化が進み、コロナ禍もかなりの影響して、いよいよもって実務実用で手書きで文字を書くことがなくなったと最近とても、感じます。
小中高生はまだまだ手書きで書いていると思いますが、大学生以上大人は、授業も黒板を写真で撮って自動でテキスト化しているなんてことも増えているでしょう。履歴書はもちろん、行政の書類さえもパソコンで打ち込めるものが主流となりました。
筆者は書道家なので毎日文字を書きますが、それは仕事や創作のとき。それ以外実用で書いた記憶は・・・俳句をひねっていたとき(俳句をやっています。つまり自分が見るメモ)、息子に文字を教えていたとき、くらいなもの。
ただひとつ、皆が書く機会がなくならないのは、自署(サイン)。印鑑文化が廃れ始め、自署の機会はむしろ増えたのではないでしょうか。つまり、多くの人にとって、人に見られる手書き文字は自分の名前以外にほぼなくなっている状況と言っても過言ではないのかもしれません。
略字はもう今後生まれないのかも?
略字ができてくる過程としては、基本的に手書き時に楽に書きたい、あるいは学習を楽にしたい、という理由からだと思います。
けれども、もはや文字を書く必要性が俄然薄れ、さらに、書けなくても変換で難しい漢字を操ることも可能。そもそも手書きや学習を楽にする必要がなくなっているわけなので、文字を略す必要だって当然ありません。
・・・てことは、略語は生まれても略字ってもう新しく生まれないのかもなあ。
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