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#153『子宮を温める健康法』若杉友子

 綾部に暮らす老女が、食養生で不妊症を解消する方法を教えるという本である。実に膨大かつ劇的な成果が上がっているという。著者の言葉には迷いも無駄もなく、読み手の準備さえ出来ていれば「そうかなるほど」の連続で、将来にも大いに期待をかけられることだろう。それほど食べ物の害は子宮のみならず体を苦しめ、本来自然に出来るはずの妊娠から人間を遠ざけている。
 ところが、私はどうもマクロビオティックに近付きがたく、この本も読みながら「うーん」と素直に首肯しない自分がいた。多分、私は食べたり飲んだりするのが好きだから、マクロビオティックの制限を窮屈に感じるのだ。そして自分はそれほど困っていないし…と考える。そして「本当かなあ」と思う自分も正直に告白すると、いる。
 そしてこれは実は自分の鏡像であることに気が付く。私はヒーリングという仕事をしている。いわゆる摩訶不思議な、知らない人が見たら眉唾ものの仕事である。そして私のヒーリングの世界には諸々の「した方が良いこと」「しない方が良いこと」がある。これはかなり法則的なことだ。しかし再び、知らない人が聞いたら眉唾ものの法則である。そんなものに束縛されるより自由に生きたい。なおかつ多くの人が「自分はそれほど困っていないし…」と考える。私の熱心な顧客の方たちはこう言う。「って言う人ほど、病んでいるんですよねえ、過去の私のように」と。
 だからこれは全く同じ話なのだ。
 しかしなぜ自分がマクロビオティックに対して敬遠したい気持ちを持っているのかというと、やはりその世界に含まれる、意図せざる狭量さにある気がする。著者自身が書いているのだが、「マクロビオティックの人は白米食の人を馬鹿にする傾向がある」。これである。
 自分の食べているものの方が上等だ、又は正しいという理由によって自尊心を満たすことや他人を馬鹿にすることほど愚かしいことはない。この毒気が私は好きではないので、そもそもその空気を醸成するマクロビオティックに拒絶観があるのだ。
 しかし理性的に考えればそれはマクロビオティックの提唱する法則とは直接的には関係がないはずだし、またマクロビオティックによって不妊症の人が子を授かったことも事実である。だからとりあえず目次を得るくらいのつもりで読んだ。
 私の所には不妊症の人も時々来るので、「こういう本もある」と勧められれば良いかと思う。
 以下抜粋
・戦後、給食が始まり、ミルクとコッペパンが支給された。子供たちは大喜び。しかしそれから程なくして、女子は下り物が出始めた。そんなものはそれまでなかったから不気味だった。
・三温糖は白砂糖を精製した後の糖蜜。要するに白砂糖の双子なのでダメ。
・玄米菜食で体が極陽性になっているとそれはそれで問題で、妊娠しない。
・古来日本では何度で出産した。お宮参りまで赤子を日に当てず目を守る。←これはネパールの出産事情を記した本にも書いてあった。こういうことを知ると、お宮参りの意味も深く理解できるというものだ。自分の子供の時は当然、こういう認識に支えられた上での感慨はなかった。
・ナス科は妊娠を阻害する。
・遠洋の赤身魚は肉食と同じくらい血を汚す。近海の魚が良い。それは古来食べているものだから。しかし鯵、鯖、鰯、鰹は近海のものだが血を酸化させる。という訳で、白身が良い(全部読めましたか? あじ、さば、いわし、かつおです)
・食べ合わせはやはり重要。刺身にはわさびなど。あんまりこういうことを考えない私は今後は注意しよう。
・調理器具をテフロン、ステンレス、アルミなどから、土鍋・鉄鍋に換えただけで体温が1度上がったという人もいる。


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