#202『未来世療法』ブライアン・ワイス
なんとついに未来世まで来た。この本には100年後〜1000年後の地球、また6万年前の地球まで出てくる。いずれも退行催眠で患者が見たものである。勿論、確かめようのないことだ。しかし私はこれを信じたいというとか、受け入れたいと思う。
著者の姿勢は一貫しており、信頼できる。すなわち「それが真実かどうかよりも、その幻視によって患者が治ったという事実が重要」。過去世の場合、顕在意識では知る由もない記憶を取り戻すことによって、今生で舐めている自分の苦しみの原因が分かる。それで受容や許しの心を得られるのである。では未来世の場合、どうなるのだろうか。
未来世と言っても確定しているのではない。このコースを取った場合は、こうなる、別のコースを取った場合はこうなる、というふうにヴィジョンが提示される。それで例えば、このまま怒りを抱き続けるとこうなるのだ、ということが分かり、患者はそれを手放すことが出来る。素晴らしいことだと思う。本書は「未来は私たちが選択できる」ということを繰り返し伝えている。
しかしそれと別に興味深かったのは、未来の地球が案外良い、というかかなり良くなっているということである。100〜200年後までは安定、そこから600年後くらいまでがかなり危険。その後は真の安定と平和、といった感じのようである。この幻視を見させたのは地球そのものであったのだろうか? 勿論、私たち人類が良い選択を続けていったならば、の未来ではあるだろうが。
これに関して、人類の集合的な思いが地球の在り方に影響していく、ということが強調されている。著者は直截には言っていないが、テクノロジーの発達や制度の変更などよりも、意識の問題の方がはるかに重要なようである。より良い地球の未来を導くためにもまずは自分の心を浄化し、そして少しでも多くの人と良き思いを共有していきたいと思わされた。
あと、古代エジプトのヒーリング技術が出てくるのだが、かなり好奇心を刺激する。この世界は秘密と可能性に満ちている。