#197『チベット永遠の書』テオドール・イリオン
友に教えられ即購入した。第一部と第二部から構成されているが、前者に関しては私にとってシルバーバーチを超える本になってしまった。
1930年代にはチベットはいまだ秘境で、国内に入ってくる外国人は容赦なく殺すことで排除していた。しかしそんな状況でも経典や秘密や財宝や知識を求めて世界中から探検家たちが入っていった。日本からも一人の人が宗教的目的で潜入し、生還したと記憶している。
著者はドイツ人で、強靭な精神力と身体能力を持ち、チベットの荒野をただ一人で渡り切る。そしてチベットの人々のありのままの暮らしを見ると共に、偽の宗教者、真の聖者とも交流し、観察する。
第一部の白眉は聖者が語る知恵の言葉で、私にとっては天啓となった。しかしその内容および何を私が感じたかということを書き出すととんでもない長大な論文になりそうなので割愛する。一つ確かに言えることは、著者の知力が並外れているため、聖者の言葉を漏らすことも曲解することもなく正確に書き留めているということである。これは断言できる。というのは真の賢者は洋の東西を問わずどこでも必ず同じ真理に達するが、これらチベットの聖者たちの言葉は驚くほど北米の呪医と同じなのである。
第二部の方は私は創作なのではないかと疑っている。いくつかそう判断する根拠がある。面白い部分もあるが、学びは少ない。
とにかく第一部である。折に触れて読み返し、自分の立っている場所を再確認したいと思う。
昨晩は友と長らくこの本について語り合った。