
多文化理解と国際的視野を育む:IBと国語教育の相互関係
IB(国際バカロレア)はInternational Baccalaurete の略称であり、 「世界共通に定められた教育カリキュラム」です。1968年にジュネーブの国際バカロレア機構がIBを設置しました。中学受験の国語とは一見無縁に感じるかもしれませんが、ちょっと読み込んでほしいなと思いました。最後まで読んでいただければ幸いです。
※2023年1月時点では、世界159以上の国・地域で5600以上の学校でIBが実施されています。
国際バカロレアとは?
国際バカロレアとは、ジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構が提供する教育プログラムで、1968年に設置されました。 国際バカロレアは世界で通用する大学入学資格であり、大学進学への道を付与することを目的の一つとしています。
IBの教育は児童生徒が自分自身のものの見方、文化、アイデンティティーを振り返り、 そして他者のそれに対しても同様に振り返りを行うことを促すことで国際的な視野を育み ます。 IBの学習者は「異なる信念、価値観、および経験に対して価値を見いだし、異なる 文化や学問領域を横断的に捉え、協力すること」を学びます。
IB World School(国際バカロレア認定校)とは,国際バカロレア機構から,国際バカロレアを実施する環境・体制等が整っていると認定された学校のことです。国際バカロレア(International Baccalaureate)とは、世界中を転勤する家庭の子どもが、大学に進学できるように国際的に認められる大学入学資格を作ろう!という動きから生まれました。
全体像は3部構成
①小学校に相当するのがPYP(初等教育プログラム)
②中学校に相当するのがMYP(中等教育プログラム)
③高校に相当するのがDP(ディプロマ資格プログラム)
高校2年生から学ぶディプロマ資格プログラムが、「世界共通のパスポート」と呼ばれ、大きな注目を集めています。
理想とする生徒像
国際バカロレアは、次の10を追求する人材を育てようとしています。ラーナープロファイルといいます。
・Inquirers 探究する人
・Knowledgeable 知識のある人
・Thinkers 考える人
・Communicators コミュニケーションができる人
・Principled 信念のある人
・Open-minded 心を開く人
・Caring 思いやりのある人
・Risk-takers 挑戦する人
・Balanced バランスのとれた人
・Reflective 振り返りができる人
出典:国際バカロレア機構 Resources for schools in Japan
理想とする生徒像を満たしていくようにPDCA(S-PDCA)を回せる子どもは強いですね。
国際バカロレアがエリート教育から広がりを見せるなか、日本でも、文部科学省が国際バカロレア認定校を200校にする目標を掲げています。現在、国際バカロレアは、英語、フランス語、スペイン語で実施されています。そのなかで、日本では、ディプロマ課程の一部科目の授業と試験・評価を日本語で実施する「デュアルランゲージ・ディプロマ」が導入されました。デュアルランゲージ・ディプロマは、日本での国際バカロレア教育の普及のため日本語と英語で指導・評価できるように取り組んでいます。今後に期待されます。
IB DP (国際バカロレア・ディプロマプログラム)の学びは6つの教科グループと3つのコア科目で構成されています。2年間に渡るこのプログラムを得て、IB Diploma(国際バカロレア資格)を取得することにより、世界中の大学への入学資格を得ることができます。現に、100カ国以上20,000校以上が IB Diploma を入学資格として認めています。大学受験に有利になるだけでなく、IB DPを取得することで入学後の単位免除や在学期間の短縮、奨学金をもらえることもあります。
IB DP (国際バカロレア・ディプロマプログラム)は英語フランス語、スペイン語などで行われてきましたが、2016年から一部の科目を日本語で実施できる「Dual Language Program (デュアルランゲージプログラム)」が導入されました。
日本の高校生が国際バカロレア資格を取得する主な3つの方法は以下3つあります。
1.国際バカロレア認定高校に通い、資格取得をする(高校=専門的に「一条校」といいます)
2.国際バカロレア認定インターナショナルスクールに通って資格取得する
3.海外の国際バカロレア認定校に進学、または、留学をし、資格取得する
IB(理想とする生徒像)×中学受験
国語(日本語)を学ぶことは、個々のアイデンティティーと文化的背景を深く理解し、自身の表現力を高めるために非常に重要です。特に、国際バカロレア(IB)の教育においては、多文化理解と国際的な視野を育むことが強調されています。今回の文脈で、中学受験の国語の重要性を見直すことが伝えられたらいいなと思います。ラーナープロファイルは日本の教育においても常識であることが多く、既に家庭や学校でも行っているなど、思い当たるフレーズも思いですね。中学受験で様々な文章を学び、国語の重要性を見直してみてはいかがでしょうか。
中学受験の国語の重要性
中学受験において国語は、単に日本語の読み書きの能力を高めるだけでなく、論理的思考力や表現力の向上にも繋がります。特に、国際バカロレア(IB)のように多文化理解を重視する教育プログラムにおいては、自分の文化を深く理解し、それを他者に適切に伝える能力が求められます。国語の学習を通じて、このようなコミュニケーションスキルを磨くことは、子どもの今後の人生において将来的役立ちます。
時々、国語の入試や教育で、中学受験だけの視野であると「詩歌」は中学受験に必要か不要かという話題がありますが、私は学習自体は必要だと考えます。筑波大学附属駒場中・高等学校等の難関校でも出題する学校はありますし、何よりも教養の守備範囲が広いがるという意味で、個人レベルで楽しめること、表現すること、伝えることを通じて、文学史や、古典等の学習にもつながることです。首都圏では海城中学・高等学校の大迫校長先生がIBの推進者かつ詩人として有名です。
国際バカロレアのプログラムを受けるかどうか、IB Diploma(国際バカロレア資格)を取得するかどうかは別として、「理想とする生徒像」と「進学する学校の理念」、「家庭の方針」はどこかでつながっていると考えることが大切です。
まとめ
国際バカロレア(IB)の教育プログラムと日本語の学習は、相互に補完し合う関係にあります。中学受験の国語の学習を通じて、日本語の深い理解と表現力を養うことは、IBの教育理念である多文化理解と国際的な視野の育成に大いに寄与します。したがって、日本語を学ぶことの重要性を認識し、その学びを深めていくことは、国際社会で活躍するための第一歩となるでしょう。
いいなと思ったら応援しよう!
