ゲームギアをリキャップ・TFT液晶化してみた
全国1000万人のIPS液晶マニアのみなさん、こんにちは。おじさんです。今日も今日とて、この世の全てをIPS液晶化していきたいところです。おじさんにかかれば、きっとあなたのおばあちゃんもIPS液晶になる時代もすぐそこなのかもしれません。
さて今回のお題はゲームギア。いやぁゲームギアに手を出して良いのか、かなり迷った。というのも、少し調べた感じ、中古のゲームギアで正常動作する個体はほとんどないようなのだ。内部で使っている電解コンデンサがかなりの確率で液漏れしていて、多くの場合、コンデンサの交換(リキャップ)が必要になってくるらしい。
しかしこれまで数々の携帯ゲーム機を改造してきただけに、ここで諦めたくない!そんなわけで、いっちょやってみました。残念ながらいつもパーツ調達をしているRetrosixではTFT液晶しかないので、IPS液晶ではないっす。まーそんな変わらんでしょ。
ゲームギアの思い出
めっちゃ長いんで、興味ない人はスルーしてね。おじさんにとって、ゲームギアと言ってまず思い浮かぶのがこれ。
このイッセー尾形のCM、当時よく見た。子どもながらに、挑戦的なCMだなーと思った覚えが。
たしかにカラー画面やTVチューナーには憧れたけど、やっぱりもうゲームボーイで遊んでいたし、セガゲームなんて全然わからなかったから、完全にスルーしていた。
しかしこの数年後、思わぬ形でゲームギアを手に入れることになる。
1994年、おじさんは妹と一緒に、少女漫画雑誌「なかよし」に連載されていた「魔法騎士レイアース」にどハマりしていたのだ。
少し前にはセーラームーンが流行っていた時期もあり、レイアースを見たときは「あー二匹目のどじょうだー」なんて思ったいたけど、少女漫画らしからぬ無骨なストーリーで、妹だけでなくおじさんもハマってしまったわけである。
そして94年のクリスマス、妹はゲームギア版レイアースを本体と一緒に買ってもらおうと画策していた。
当時はゲームギアも多少値下がりしていたとはいえ、それでも本体ソフト同梱版で16,800円だった。いつものおじさんなら「妹だけそんな高いのズルい!」と両親に訴えるところだが、ゲーム機ということできっとおじさんも遊ばせてもらえる機会があること、そして自分では扱いきれるかわからないゲームギアという未知のハードだったこと、そういった理由からむしろ逆に妹へ買ってあげるよう両親をプッシュしたぐらいだった。
その甲斐あってか、クリスマスの朝、妹は真っ赤なゲームギアを手に入れることになる。おじさんは「レイアースも人気だし、どうせ今後スーファミとかでもソフト出るんだろうな」とは予想していたものの、人柱になってくれた妹と金を出した両親には言わず、自分もゲームギアを触れる日がいつか来るだろうと想っていた。
そしてそんな日はすぐに来た。妹はRPGというプレイしたこともないジャンルに早々に飽き、ゲームギアを放り出していた。
ほれ見たことかと思いながら、初めてゲームギアを手にしたとき衝撃が走った。
「クソデカ、バカデカですやん・・・」
まぁ実際そうは言っていないけど、そんなことを思ったのは間違いない。そしてアルカリ電池がまだまだ高かった当時において、連続稼働時間がたった3時間であったのも、幼かったおじさんには非常に非情。
当のゲーム内容も、わけわからん敵とわけわからんルーレット回しながら戦うのがわけわからんくて、おじさんもすぐに飽きてしまった。
そこでおじさんのゲームギアライフは終わってしまった。あれから数十年、妹とゲームギアの話をすることもなかった。嗚呼哀しやゲームギア。
まずはリキャップ
なんやかんや言うてますけど、前述の通り、中古のゲームギア本体は高確率で壊れているので、電解コンデンサを交換(通称リキャップ)しなくちゃいけない。でもネットで調べた感じ、交換しても100%直るというわけでもないらしい。
自分で交換するのがちょっと自信なかったところ、いいものを見つけてしまった。ヤフオクでは複数の人が"メンテ済みゲームギア"として、コンデンサ交換したゲームギアを結構な頻度で出品しているのだ。しかもユーザーIDからしてゲームギア専門家みたいな人も出品している。
「こりゃええがな!」とソフト付きの本体を購入。実際に届いてみたら確かに本体は中古感があるけれど、動作自体はばっちり問題なし。「いや~いい買い物したな~」なんて思いながら、内部基板のバージョンを確認しようと分解してみたところ、
なにこれ!!!!!!!!
めっちゃ汚い。たしかに電解コンデンサは交換されてるんだけどさ、泥のような汚れと一緒にはんだ付けされているの。しかも臭い。
おそらくフラックスの汚れであろう茶色いコゲみたいなのもあるし。しかも臭い。
動作はするけど、さすがにこれを改造のベースにはしたくない。臭いし。そして無理やりはんだ付けしたのか、はんだと汚れがミックスされた状態で綺麗に掃除もできない。
・・・これはやっぱり自分でリキャップするっきゃないですか。
ってことでね、別のジャンク本体買って、↑のように元のコンデンサを除去して、自分で国産電解コンデンサにも交換しましたわ。
だけどやっぱりジャンク本体はバクチ。動きませんでしたわ。というか、電解コンデンサを電解コンデンサに交換するって、付け焼刃感たっぷりだし、そもそも電解コンデンサもそれなりの大きさだから、ケース内部に収まるように位置や向きを修正する必要があったり、色々面倒だった。
ってことで、ようやく結論書きます。
まぁ電子工作やる人なら自分でチップコンデンサを集めてもOK。でも電解コンデンサじゃなく、チップコンデンサの方が取り付けも簡単だし、ケースへの収まりを考える必要もないし、100%おすすめ。
おじさんは、正常動作するゲームギアを運よく手に入れて、このチップコンデンサへ交換した。やっぱり正常動作するのが一番。失敗したくない人は参考にしてね。
はい、ここからようやく本題。今回の改造のためにRetrosixで買ったパーツを並べていくよ。
1. Game Gear CleanScreen 3.5" TFT Screen
まずはこれ。TFT液晶。IPSじゃないんだよね、Retrosixは。
2. Game Gear CleanScreen
液晶用の基板がこれ。円安もあってかなり高い。TFT液晶と別売りなのもつらいよね。
3. Game Gear CleanScreen Wire-Free Install Kit (1 Chip)
本体基板と液晶基板を繋ぐためのキット。これがあると配線が非常に楽になるので推奨。ちなみに本体基板のバージョンによって異なるので、その辺は各自ぐぐってください。これは1 Chip用。
4. Game Gear CleanScreen Brackets
液晶用の3Dプリントパーツ。これがないとネジ固定できないので必須。いや~高い。
5. CleanJuice USB C Battery Pack (Game Gear)
これ以降は直接TFT液晶化とは関係しないものの、今改造するならこれも買っておいたほうがよさげなもの。
まずはUSB-Cバッテリーパック。ゲームギアの電源基板はとにかく故障しやすいからリキャップが必要なんだけど、もうUSB-C電源にしたほうがいいよ。しかも充電池が2つなので、めちゃくちゃ充電がもつ。最高っす。
6. CleanAmp Audio Amplifier (Game Gear)
どうせならサウンド基板も変えよう。
7. Game Gear Speaker
どうせならスピーカーも。
8. 3mm Water Clear LED (Green)
おしゃれに敏感なあなたにはこちらのLEDも。別に国内でも余裕で手に入るんだけどね。まぁ多少高くても、動作確認取れているものをそのまま使った方が楽でしょっていうダメな大人。
ちなみに、そのまま取り付けると眩しくてゲームプレイできないレベルなので、おじさんは↑のようにLEDの穴にグルーガンでグルーを詰めました。いい感じに光弱まったので参考に。
9. Game Gear Shell (Clear Black)
はい、これ以降はケース類。クリアホワイトも買ってみたんだけど、やっぱりゲームギアは黒が似合う、ということでこちらを購入。
10. Game Gear Buttons (Black)
こちらの黒ボタンも購入。おじさんはアクセントカラーを入れたかったので、紫も購入。高いよ…。
11. Game Gear Rubber Pads (Clear)
ボタンゴムも新品を購入。
12. Game Gear Glass Lens (Black)
スクリーンガラスはこちらの色を購入。
以上。円安が続いている今買うと、送料含めて3万ぐらいいくんじゃないだろうか…。高いね。
完成
組み立て方法はYoutube動画などを見ればすぐ出てくるはず。ワイヤフリーキットと映像信号線のはんだ付けが少し大変なぐらいかな。
そして完成したのがこちら。
かっけーーー!!!!
明るい!!!!
そして少し軽くなった!!!!
まぁお金もそれなりにかけた分、完成したら大満足ですよ、ええ。もともとの暗くて残像ありまくりな画面と比べたら別次元。っていうかここまでやって、ようやくまともにプレイできるんじゃないだろうかw
終わりに
というわけでね、約20年ぶりに魔法騎士(マジックナイト)になれたおじさんでした。
何度も言うように、ゲームギアは金がかかる!改造もバカ高いし、中古のゲームソフトもめちゃ高い!でも中古の良個体ハードの数もだんだん減ってきているという…。
そして、これまでのIPS液晶化の中では比較的に難易度も高め。はんだのリワークやチップコンデンサの取り付けなど、他ではなかったからね。
ゲームギア業界では、かなりマニアックな方がいたり、互換基板への載せ替え改造なんかもあるようなので、そういうのが好きな人にはおすすめ。
おじさんはとりあえずやりきって満足。
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