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cartreaderをつくってみる ~その2:部品購入編~

電子工作なんかやったことがない人にとって、いきなり難関である。

sanni氏のWikiには必要な全パーツが記載されているとは言え、いざ通販サイトを開いてみると同じような部品がたくさん存在する。

おじさんは以下のページを参考にさせてもらった。ありがたい。

さて、それでもわからない人にはわからない。ということで、おじさんにも理解できるレベルにまで詳細に記載するよ。

このノートを書いているのはcartreader v6.6時点のものなので、バージョンが上がるとパーツも変わるかもしれないので要注意ね。


必要部品まとめ

リンク先は実際におじさんが購入した通販サイトである。以下の部品を買い揃えることでSNES(SA-1チップ含む)、GB、GBC、GBA、メガドライブ、N64のカートリッジに対応できる。N64コントローラパックには対応しないので、必要な人はケーブルも揃えるように。

また、3Dプリントでケースを作成する前提である。

1. Arduino Mega 2560 x1 → Amazon
2. Arduino用クロックジェネレーター x1 → aliexpress
3. Arduino用microSDカードリーダー x1 → aliexpress
4. Arduino用0.96インチOLED x1 → aliexpress
5. GBAカートリッジスロット x1 → aliexpress
6. メガドライブカートリッジスロット x1 → aliexpress
7. N64カートリッジスロット x1 → aliexpress
8. SNESカートリッジスロット x1 → aliexpress
9. ゴム足 x4 → Amazon
10. M2x10タッピングネジ x8 → Amazon
11. M2x12タッピングネジ x3 → Amazon
12. 220Ωチップ抵抗 x3 → 千石電商
13. 1kΩチップ抵抗 x1 → 千石電商
14. 10kΩチップ抵抗 x2 → 千石電商
15. 100nFチップ積層セラミックコンデンサ x1 → aitendo
16. 22μFチップタンタルコンデンサ x1 → aitendo
17. 470μF電解コンデンサ x1 → aitendo
18. 3端子レギュレータAMS1117 3.3V x1 → aliexpress
19. PIC12F629 x1 → aliexpress
20. 5mm RGB LED アノードコモン x1 → Amazon
21. 表面実装用プッシュボタン x2 → aitendo
22. スルーホール実装用スライドスイッチ x5 → aitendo
23. 1x6メスピンソケット x1 → 秋月電子
24. 1x7メスピンソケット x1 → 秋月電子
25. 2x8メスピンソケット x1 → 秋月電子
26. 1x40ピンヘッダ x3 → 秋月電子
27. プリント基板 → JLCPCB
28. ケース → Craftcloud
29. ビニル電線 x2 → Amazon


以下各パーツの詳細も記載しておく。

1. Arduino Mega 2560

Arudinoシリーズの中でも少し大きめなMega 2560というモデルが必要になる。aliexpressやAmazonでは格安の中華製互換機もあるのだが、可能であれば公式のものかELEGOO製を買っておきたい。格安のものだとブートローダーが書き込まれていなかったり、Arduino IDEで正しく認識しなかったり、ボード上の実装位置がおかしかったり、動作が不安定だったりする。Arduinoはcartreaderの本体部分でもあるので、予算をケチらないほうがよさげ。中華メーカーの中でも、ELEGOO製は群を抜いて高品質なので、あり。

2~4. Arduino用モジュール類

これらはcartreaderとか関係なく、普通にArduinoの機能を拡張するために売られているモジュールだ。Arduino本体ほど神経質になる必要はないが、可能なら信頼できるメーカー・ショップのものを買うと良い。

microSDはTFと記載されていることもあるので、購入時は要注意。

OLEDは有機ELディスプレイのことで、液晶ディスプレイではない。Arduino本体との通信方式としてIIC(I2Cと記載の場合も)とSPIが存在するが、cartreaderではIICのものが必要なので購入時には要注意。カラーはお好みで。まぁ単色が良いとは思うが。

おじさんの場合、aliexpressで購入後2週間で届いた。

5~8. 各種カートリッジスロット

これらは、ぶっちゃけどこで買っても同じようなクオリティだと思う。品質がめちゃくちゃ悪い。ピンが直角に折り曲がったものが平気で届いてくる。ラジオペンチなどで修正は効くが、低品質なだけに完全に折れてしまわないかと心配になる。

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なので、ある程度スペアの分も含めて余分に購入しておくことをおすすめする。歩留まり率50%ぐらい?

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また上記画像のように、スロット横にネジ留め用のマウント部がついているものがあるが、これらはニッパーとカッターナイフで切り取ることができる。本当ならこのマウント部がないものを買いたいが、店の在庫による様子。

おじさんは最初aliexpressのSunbox shopという店で購入したが、届くのに1ヶ月以上かかったのでおすすめしない。その後リンク先のKingworld shopという店で購入したところ、3週間で届いた。

9~11. ケース用パーツ

ケースを3Dプリントするならゴム足とネジが必要になる。

ケース底面のゴム足をつける部分は実測直径8mm程度で、ケース底面にはネジ頭が出ることも考えて直径7.9mm×高さ2.2mmのものを購入した。サイズ感は完璧で、接着面も強力で文句なし。

WikiにはM2x10ネジが8本必要とあったのだが、もしかしたら記載が古いのかもしれない。

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裏面F、G、Hの3本はスペーサーを挟んでいる分、10mmでは高さが足りなく、M2x12mmがちょうどよかった。

またI、J、Kの3本は一応ネジ留めしてはいるが、ケースを固定しているわけではないので必須ではない。まぁ軸を強化する意味で留めておいたが。

ネジ穴に溝はないので、タッピングネジを購入する必要がある。

12~14. チップ抵抗

表面実装に使うチップ抵抗だからか、意外と電子工作御用達の通販サイトだと品揃えが悪かった。なのでチップ抵抗3種類は千石電商で購入。

Wikiには0805と記載があるが、これはチップ抵抗のサイズを表している。0805は0.8インチ×0.5インチであることを示していて、別の表記方法として2012(20mm×12mm)と記載されている場合もあるので要注意。

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チップ抵抗は上の画像のようなパッケージで届く。通販サイトによっては丁寧に何Ωの抵抗かメモ書きしてくれるが、そうでなかった場合も考えて補足する。

上の画像だと221と書いている。これは22×(10の1乗)という意味なので、結局220Ωであることを表している。同じ要領で言うと、102と記載されているのが1kΩ、103と記載されているのが10kΩである。

まぁ届いたらパッケージにメモしておくのをおすすめする。

15~17. コンデンサ

どうでもよいが、日本ではコンデンサと呼び、海外ではキャパシタと呼ぶらしい。

積層セラミックコンデンサは極性がない。タンタルコンデンサは極性がある。これらは表面実装用のためかなり小さい。サイズは例のごとく0805を購入するよう注意。

100nFは0.1μFであるので、静電容量を間違えないように。

電解コンデンサは極性があってそれなりに大きい。Wikiだと任意扱いのような書き方もされているが、動作安定のため必須と考えてよい。

18. AMS1117 3.3V

こちらのパーツは要注意。まずSOT-223(SOT-223-4と記載がある場合も)というタイプを購入すること。これはサイズを表している。

また必要になるのは3.3Vなので、その点も注意。上記aliexpressのリンク先は、各電圧が10個セットになったものなのでOK。

日本国内の通販サイトを探してみたが、サイズ違い・電圧違いを除いて、全く見当たらなかった。おじさんの場合、aliexpressで購入後9日かかって届いた。

19. PIC12F629

こちらも日本国内ではなかなか見つからなかったマイコンである。別のモデルでも動くようだが、自信がなかったので仕方なくaliexpressで購入した。2週間少しで届いた。

注意点としてはSOPというパッケージのものを買うこと。SOPは足が短く表面実装に使うものだ。足が長いほうのDIPパッケージは国内でも販売があるが、cartreaderには使えない。

またこのマイコンの使い方については別途ノートに書く予定だが、ちょっとした躓きポイントでもある。

20. 5mm RGB LED アノードコモン

こちらのページ通りに購入したら、8mmのLEDだった。8mmでも使えるが、少し大きくて3Dプリントパーツにも収まらないので、Amazonで5mmのものを買いなおした。

注意点としては、4つ足のRGB LEDを購入すること。単色の2つ足のLEDではない。

またアノードコモンとカソードコモンが存在するが、必要なのは前者、アノードの方であるのでこの点も注意が必要。

21~22. ボタン・スイッチ

Wikiにも詳しいサイズは書いていないので、上記で挙げたリンク先から購入するか、データシートを見て同じぐらいのサイズのものを探すとよい。

プッシュボタンはもう少し押し深さがあるものがよかったかも。

23~26. ピンソケット・ヘッダ

1x40のピンヘッダは、必要な数だけを折って利用する感じ。Arduino Mega 2560のピン数が結構多く、その分ヘッダも必要になるので、3セット購入が必要。

SDカードモジュールではなく、microSDカードモジュールを使うのであれば2x8メスピンソケットは不要ではあるのだが、まぁ付けておくのが無難だろう。

27. プリント基板

電子工作なんてほぼ経験ないから知らなかったけど、自作のプリント基板を数百円で発注できるとは驚いた。電子工作と言えば、ユニバーサル基板にはんだ付けしていくような、あまりにも見た目ブサイクなやつを想像していたので。

おじさんはJLCPCBで購入したところ2週間で届いた。届いたプリント基板を見ると、ちょっとばかり感動したね。こんなの注文できるんだなってね。

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ちなみに新規ユーザーだとクーポンが付くらしく、送料含め$2.99だった。

28. ケース

せっかく安くない金額をかけて作るのだから、ケースも作ってみようと思い3Dプリントサービスを利用してみた。

国内の3Dプリントサービスを調べてみたところ、個人小口で安価で注文できるところはほぼ存在しないと言ってよい。唯一よさげだと思ったのが、DMM.makeだった。

3Dプリントなんて全く経験がないから、印刷に必要なフィラメントの種類もよくわからない。適当に安めなPA12 ナチュラル(MJF)という素材を選んでいくと、送料込みで3,695円だった。

まぁ良いかと発注したところ、当日中にDMMの担当者から連絡が来て、「この厚さだと正しくプリントされないかも」というアドバイスを画像付きでいただいちゃって、ここまで言われちゃもう自信もなくなり、発注をキャンセルさせてもらった。何も知らないおじさんに親切に教えてくれて、DMMには感謝しかない。

そうか、フィラメントによってはちゃんとプリントできないのかと学んだおじさんは、結局Wikiにも書いてあったCraftcloudで改めて発注した。正直なところDMMのフィラメントとどう違うのかわからなかったが、とりあえずsanni氏の実績があるならと。発注後、DMMのような連絡もなく淡々とステップが進んで、2週間強で届いた。送料込みで$35.68と、結構お高め。

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届いたのがこれ。Wikiの説明通りにcombined STLファイルをプリントすると、5つのパーツが作られる。

①…SNESカートリッジスロット用スペーサー
②…ケース側面部
③…ケース底面部
④…N64カートリッジスロット用スリーブ
⑤…LEDマウンタ

まぁケースを作るなら②と③は必須として、①と④はあまり必要性を感じられなかった。

SNESカートリッジスロットを基板にはんだ付けしてから、ちゃんと不要な足を切り取るのであればスペーサーは不要。N64のスリーブは精度のせいか、そもそもつけるとカートリッジが挿せなくなった。

⑤はWikiにも記載があるが、本当は白い半透明なフィラメントで印刷するべきなんだけど、単色プリントしたから黒になってしまった。一応LEDやmicroSDモジュールを固定する役目もあるが、モジュールの凸凹のせいで貼り付きが悪く、あまりいらないかもしれない。

また、実際に3Dプリントしたものを初めて見たからこれが普通なのかわからないけど、印刷物の周りは結構フィラメントの繊維が毛羽立っている。カッターやヤスリなどで綺麗にしておくと見た目良いかも。

29. ビニル電線

忘れていたので追記。WikiにはAWG24以下のビニル電線が必要と記載がある。AWGとは径のサイズを表す規格らしく、数字が大きいほど径は小さくなる。要するにAWG24より径の大きなものを買えば良いわけだが、あまり太すぎても取り回しがしにくいので、結局AWG24を買おう。

Amazonリンクにあるような、複数の色が付いているものの方が、見分けがつきやすくおすすめ。


終わりに

以上で必要な部品は揃う。と言っても、ものによっては注文から届くまで1ヶ月近くかかるものもあるので、cartreaderを作りたいと思い立ったなら早めに購入しておくとよいだろう。

また次回は必要な道具類についてノートを書こうと思うが、そういった道具ありきじゃないと意味がない部品もあるので(特にマイコン)、実際に部品を買う前に道具についてもさらっと理解しておくことをおすすめする。

なお、おじさん自身電子工作初心者であるため、質問は受け付けないので悪しからず!でも間違いがあったら教えてね。

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