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cartreaderをつくってみる ~その3:工具準備編~

さて、その2では必要な部品をまとめたが、それと同時に工具類も準備しておくとよい。電子工作一般にも使えるので、おじさんと同じような電子工作初心者の方も読んでみてね。

なお工具は必須級のものもあれば、そうでないものもあるので、おじさんなりに重要度も記載しておくよ。重要度の目安は以下参照。

★5…必須
★4…買っておくのを激しく薦める
★3…あると良い
★2…なくて良さそう
★1…不要

基本的には、★4~5は揃えたほうが良い。まぁ予算をできるだけ削りたいということであれば、★5だけでも良いかもしれないが、結構茨の道よ?

★5 はんだこて

おじさんも安いはんだこてを元から持っていた。しかし今回の組立に先立ってはんだ付けの職人技という本を読んでみたところ、はんだ付けが上手くいくかどうかは、基本的に道具次第らしい。

組立を完了した今、全くその通りだと自信をもって言える。温度調整ができるはんだこてを買ってほしい。特に初心者こそ、電子工作失敗の原因8割ははんだ不良だろう。はんだを除去する場合も考えて、温度調節可能なモデルを買え。

★5 はんだこて台

こて台も必ず揃えよう。上記のモデルを買っておけば間違いない。安全にこてを置いておけるし、クリーナーでこて先をずっと綺麗に保てる。まぁこれについては予算を削って安いモデルでもよいかもしれない。でも必須。

★3 こて先

はんだこてには、最初から標準装備のこて先が付いている。だがはんだ付けの職人技に書いてあったことだが、標準装備のこて先は万能なわけではない。最初から付属しているんだから、どんなシチュエーションにもそれなりに対応できるものでは?と思っていたが、そうではないのだ。

Youtube動画やネットの記事を見ても、同じことを言ってる人が多数。試しに上記のこて先を買ってみたら、確かにこちらの方が使いやすかった。温める面積が広いので、はんだを綺麗に溶かしつつランドに載せられる。また表面実装をはんだ付けするときに重要なテクニック、挟みはんだもやりやすい。

ぜひ予算が許すのであれば買ってみてほしい。必ず作業が楽になる。

★2 こてカバー

カバーがあると、こて先がまだ熱いときでも工具箱に入れられるらしい。こて先の保護目的にも良いと思う。

だが心配性なおじさんとしては、例えカバーを付けたとしても熱いまま収納する気はないので、買うかどうかは好みで良いかと。

★5 鉛入り糸はんだ

はんだは鉛入りで0.6mm前後のものを買う。鉛フリーは使ったことがないけど、個人製作の電子工作なら鉛入りで良いだろう。

初心者は結構はんだを付け直したりするので、cartreader組立には上記商品が2本あると安心。

★5 はんだ吸取り線

はんだを付け直すとき場合も必須だし、何よりOLEDモジュールがピンヘッダとはんだ付けされてしまっているので、その除去のためにも必ず買う必要がある。

これは1個あれば十分。

★4 はんだ吸取り器

はんだ吸取り器があるとさらに作業が捗る。特にスルーホール実装部品のはんだを除去するときは、こちらの方がごっそり取れる。ごっそり取った後は大抵はんだが残るので、吸取り線で吸い取る必要もあるのだが、こちらがあると作業効率が良い。

今回cartreaderを組み立ててわかったことだが、はんだの除去はかなり気を使うし、コツがわからないと結構時間がかかる。それを軽減するためにも購入をお薦めする。

★4 フラックス

表面実装部品を取り付けるときは、フラックスがあるとないとで難易度が劇的に違う。一応はんだにもフラックスは入っているが、申し訳程度にしか入っていないので、今回のcartreader目的なら買っておくのをおすすめ。

★2 フラックスクリーナー

フラックスは松脂なのでべたべたしている。組み立て途中も組み立てた後も、手についたり埃を呼んでしまったりするので、綺麗に除去しておくのをお薦めする。

上記モデル、フラックス以上に価格が高いが買ってみた。で買ってみた結果、自分の使い方が良くないのか、あまり綺麗に除去できなかった。こちらより無水エタノールの方がフラックス部分への浸透が良く、綺麗に除去できた。なのでお好みで。

★4 無水エタノール

というわけで皆大好き無水エタノールである。フラックスを除去できるのはもちろん、基板の汚れなんかも綺麗に取れるし、まさに万能だ。今の時期、余ったとしても使い道は他にもあるだろうし、ぜひ購入を薦める。

★3 針付きスポイトボトル

某Youtuberの方が無水エタノールを入れるのに使っていたこの商品。ぽたぽたと一滴ずつ出せるので、使い勝手がかなり良い。今後も電子工作をやるつもりならおすすめ。

★4 キムワイプ

クリーナーや無水エタノールで拭くならキムワイプが必要。まぁ他にも用途はあるだろうから買っておくと良い。

★2 工業用綿棒

部品間の狭いところなら綿棒のほうが…と思って綿毛が出ない工業用の綿棒を買ってみたが、うーん、あまり吸い取りがよくないし、キムワイプとピンセットとかの方が綺麗にできる。買うかは好みで。

★3 エアダスター

cartreader組立は結構はんだ付け箇所が多い。はんだ付けが多いということは、はんだ付け後の部品足の処理などで、はんだの細かい粉が基板に付いたりする。そんなときはこれ、エアダスター。

上記のは結構お高めだけど、他にも使い道はあるだろうし、買っておくと良いかも。

★3 接点復活剤

cartreaderでロム吸出しをするということは、動作確認にレトロゲーを使うことになる。おじさんも今回いくつか中古ソフトを購入した。

そういったレトロゲーをカートリッジスロットに挿すときは、この接点復活剤を使った方が良い。そもそもスロットも最初は固めだったりするので、これがあると安心。

★2  絶縁コーティング剤

cartreaderは完成した後もプリント基板剥き出しだし、しばらく経ってから動作がおかしくなったら嫌だなぁと思い見つけたのがこれ。屋外に置いておくような基板とかだと絶大な効果を発揮するらしいのだが、うーん、cartreaderぐらいなら要らなかったかもね。

コーティングしちゃうと多少はんだのメンテがしにくくなるので、結局おじさんは使っていない。買うかは好みかな。

★5 ドライバー

ケースを3Dプリントするならドライバーが必須。おじさんも元々精密ドライバーを持っていたけど、某Youtuberの方が使っていた上記モデルが気になったので買ってみた。

ラチェットドライバーって初めて使ってみたんだけど、手が疲れにくいし、カリカリ気持ちいいのね。全体的に小さく場所もとらないので良い感じ。

★5 ニッパー

部品の足を切ったりするのでニッパーは必須。おじさんは上記のモデルをもともと持っていたのでそのまま使ったけど、これで特に困ることはなかった。電子工作に適したモデルも他にあるのかもしれないけどね。

★4 クラフトカッター

こちらも元から持っていたクラフトカッター。カートリッジスロットの形を成形したり、部品固定のマスキングテープを切ったり、使い道はたくさん。

まぁ普通のカッターでも良いけど、クラフトカッターの方が細かい作業向き。

★4 ラジオペンチ

cartreader組立ぐらいなら使わないかも、と思ったけど結構使うシーンが多かった。カートリッジスロットの曲がった足を修正したり、LEDの足を曲げたり、OLEDモジュールのピンを抜いたり…。

ピンセット替わりにもなったりするし、購入しておくと良い。

★4 ピンセット

小さな表面実装部品などをはんだ付けするときは、ピンセットがないとちょっと厳しい。おじさんも元々プラモデル制作用のピンセットを持っていたのだが、そちらはすぐ磁力が付いてしまって使いにくかった。

こちらのピンセットは非磁性なのでそんな心配はなく。先端の精度も良く使いやすい。1つだけ買うとしたら矢じりタイプかなぁ。先曲がりタイプと逆作用タイプもおすすめ。

★3 ワイヤーストリッパー

ビニル電線の被覆を剥くときに非常に便利。ニッパーやカッターで剥くの苦手だったけど、これがあれば一切苦じゃなくなる。

とは言え、cardreader組立の場合だと2本しかビニル電線使わないし、カッターでも良い気がする。

★4 マスキングテープ

おじさんはマステ大好き。もともとはガンプラ塗装用に持っていたんだけど、電子工作でもばっちり使えた。部品の固定やら、後述するヒートガンの熱対策、余ったパーツのメモ用などなど。

安いし、意外と長く使えるし、おすすめ。

★3 絶縁ビニルテープ

使わないArduinoのDCジャックや、LEDマウントパーツの部分に使ったビニルテープ。あると便利だけど、cartreaderだと使うシーンは多くないかも。

ビニルテープは粘着力が良いんだけど、接着面がねっばねばなのが欠点なのよね。プリント基板には直接貼りたくない。だから使う用途も限られる。

★2 カプトンテープ

こちらも基板の絶縁目的で買ってみたけど、結局使わなかった。カプトンテープは半透明なので貼った部分が見えるのが良いんだけど、粘着力が悪くて凸凹面だと結構剥がれてしまう。

電子工作一般には使えるのかもしれないけど、cartreaderで使うかは好み次第。

★3 耐熱作業マット

cartreader組立の一発目、Arduinoの基板から部品を除去するためにヒートガンを使ったら、敷いていたタミヤのカッターマットが解けちゃいましたw 皆はちゃんとこういう耐熱作業マットの上でやろうね。

ネジ類を入れておけるエリアもあったりして便利。これの上でカッターは使えないけどね。

★3 ツールクリッパー

はんだ付けのお供、ツールクリッパー。cartreaderのプリント基板はデカすぎて使う場面は少なかったけれど、OLEDモジュールのピンを抜くときはこれがあったおかげで助かった。

電子工作を今後もやるような人なら買っておいて損はないと思うよ。

★4 ヒートガン

Arduino基板から不要な部品を取り除くとき、ワンチャン、はんだこてだけでできないかな~と思ったけど無理でした。こちらの中華製ヒートガンなら楽に取り除くことができた。まぁ今後も使い道あるかもしれないし、買ってよかったかな。

Amazonは似たモデルが大量にあるし商品削除されたりしているので備忘録として残しておくと、350℃の350Wヒートガンらしいっす。計測していないから本当かわからないけど。

ヒートガンはないと結構大変だと思うので、ぜひ購入してほしい。

★3 グルーガン

おじさん、グルーガンに興味があったのよ。ちょっとしたものなら直せるし。今回のcartreader組立でも、ビニル電線の絶縁と固定目的に使えるかな~と思い購入してみたら、ちゃんと使えたしやっぱり便利だった。

グルーガンもAmazonに中華製が大量にある。おじさんは安心と信頼のボッシュ製で、今後も使いそうなことも考えてコードレスタイプを買った。もう少し安いモデルでも良いと思うよ。

★5 PICKit3

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PICにプログラムを書き込むためのツール。おじさんはaliexpressで、PICKit3 with ICD2というパッケージを購入した。ICD2っていうのが何かはわからない。

aliexpressの他の店やAmazonにもこの商品は売っているが、画像の右にあるような、PICを載せるためのアダプタボード(これはICD2じゃないよね?)が付属しているものを買うと良い。

そもそもはPICを製造しているMicrochip社がこのPICKitシリーズを発売しているのだが、PICKit3は既に生産終了していて、PICKit4が現行品となっている。しかしPICKit4は現在8,300円と高価で、しかも昨今の半導体製品不足を反映してかどこも品切れ状態。そういうわけで、PICKit3の中華製パチモンを購入するのが最近のトレンドらしい。まーWikiにもおすすめされているしね。

PICKit3のパチモンは概して動作にクセがある。製造元によって多少の差はあるが、オリジナルのPICKit3と比べて一部電子部品が安価なものに替わっていたり、場合によっては完全に省かれているようだ。そのせいか、PIC書き込み時に大体電圧不足になりがちだそうだ。

PICKit3を繋ぐPCとも多少相性があると思うので、過度な期待は持たず、他の誰かが動作報告を挙げているパチモンを購入するのがおすすめ。

★5 SOP8 to DIP8 アダプタ

PICにプログラムを書き込むときは、前述のPICKit3のアダプタボードにPICを載せる必要があるのだが、cartreader用に準備したPIC12F629は表面実装タイプのSOPというパッケージで、そのままではアダプタボードに載せられない。アダプタボードに載せるためには、SOPをDIPに変換するアダプタが必要になる。

上記のAmazonリンク先は現在品切れになっているが、他にも似たような中華製品があると思うので一番安いものを購入すると良い。この商品は単に電気回路的にピン足を延長しているだけのものなので、正直クオリティに差はないと思う。

注意点としては、今回使うPICは8ピンなので、SOP8からDIP8に変換できるアダプタを買うこと。また150milサイズのものを買うこと。

★4 テスター

必須ではないが、何か動作に不具合があったときには必ず役立つため、テスターを買っておくことをお薦めする。上記のようなAmazonで人気のデジタルテスター(マルチメーターとも呼ぶらしい)を買うと良いだろう。電子工作初心者のおじさんも、これのおかげで問題の切り分けと解決ができた。

具体的に使う機能としては、導通確認、抵抗値測定、直流電圧測定ができると良いと思う。多くの場合トラブルの原因ははんだ不良なので、電源が入っていない状態で導通確認(抵抗値測定)をすることで、正しく導通しているか、もしくは誤ってショートしていないかを確認できる。また各種モジュールが動かないときは、電源を入れた状態で電圧測定をするなどの使い方もできる。

テスターは電子工作以外にも使えると思うので、一家に一台は買っておいて、基本的な使い方を覚えておくのが吉。


終わりに

結構多いねぇ。まぁ綺麗かつ楽にcartreaderを仕上げようと思うと、やはり道具もある程度の数が必要になってくるってことで。

おじさんも道具を何個かポチっていくうちに、「あれ?部品代以上に工具に金かかっているんじゃねぇか?」って心配になったんだけどね。でもそんな心配は無用でしたよ、ええ。今後も電子工作を続けるのであれば、実質無料やん!って気づいたのね。

だから皆もレッツ電子工作!次回はPICとArduinoについて簡単に説明する予定だよ!

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