水深800メートルのシューベルト|第1094話
「ASRを要請したから来ると思うよ。それまで、バッテリーと酸素発生装置を持たせて……」
僕はそう答えた。
「それは正確じゃないな。我が国のASRは退役しているからな。イギリスあたりはASRを提供するかもしれないが。もし政府が派遣するとしたら、別の原潜か航空機が運んでくるチェンバーかDSRV(深海救難艇)だろうね」
ボブは僕を見ながらそう説明した。
「どこでもいいから早く来やがれ」
ロバートがうんざりしたように言った。
「それとも、こっちから出て、海面で待ってやろうか。その方があいつらも見つけやすいだろう」
「好きにしろ。こっちとしては水と酸素の節約になる」
ボブが、愚かなロバートの冗談とも本気ともつかぬ提案に、突き放すように言った。