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水深800メートルのシューベルト|第218話

僕は、パパの話が出る度に胃からムカムカするものがこみ上げてきた。
「でも、パパは粗暴で怖かったよ。お金持ちじゃないし。その点コリーニさんは穏やかそうじゃない?」

「アシェル。あなたに何がわかるの?」ママはぴしゃりと言った。「ジョーンズがあなたに厳しかったのは、あなたにも責任があるのよ。小さい頃、落ち着きがなくてご飯の度に大声を出す。ママが頭痛くても、ひと時も静かにしていられず、すぐに話しかけてくる。言われたことは守らない。あなたは、ママにも育てにくかったのよ」

「ごめんなさい、ママ」
 ママはすぐ怒り、その顔を見ると、反射的に居たたまれなくなる。ママも僕もそこは昔から変わらない。

「いいのよ。アシェルの小さい時の話だから。少しは素直な大人になったみたいだから。そこでママから提案があるの。よかったら、一緒に暮らさない?」
 僕はフローズンを持つ手を止めた。手のひらに冷たい水滴が広がっていた。

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