水深800メートルのシューベルト|第405話
バーナードが腋の下に手を入れてきて、引っ張り上げようとした。それをふり解いて、しゃがんだままじっとしていた。
「どうした、まだ酔っているのか? 情けない奴だ」
メイソンに足で小突かれて、怒りがこみ上げてきた。続いて、バーナードが囃し立ててきた。
「もしかして、あの淫売、お前を捨てたママにでも似てるのかなあ?」
「お前、まだママが戻って来るとでも思ってんのか?」
ブライアントも笑ってきた。
僕は、抑えられないマグマが頭の中に沸いた。頭の中はグラグラしたままだが、地面の土を固く握りしめていた。それだけでは十分ではなく、「黙りやがれ!」と叫んで、バーナードに掴みかかろうとした。