僕が下を向いたままでいると、ナージフさんが庇ってくれた。
「この子は、親に捨てられたんだ。寂しくて……、構ってもらいたくて……、不良グループに入るのは、ガキのころなら別によくあることだろう?」
「片親の家庭はいくらでもいるし、両親がいなくて祖父母に育てられているのも珍しくも何ともない。そんな理由で、死体遺棄を手伝うような真似をしていたら、カリフォルニア州は犯罪天国になってしまうよ」
きちんと撫でつけられた髪からはみ出た毛を直しながら、ラスウェルさんは血管の透き通った面長の顔をリクルーターに向けた。
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