水深800メートルのシューベルト|第1033話
ロバートは顔を下士官にくっつけるようにして喋っていたが、その手の動きを見て、顔を引っ込めた。自分より階級が上の相手に、失礼な態度を取っていることに気づいたのだろう。僕はロバートに言った。
「立ち入り禁止なら仕方ないだろう。帰ろうよ」
彼は、不愉快そうに言った。
「帰りますよ。でも、その向こうで何が起こっているのかを教えてくれてもいいんじゃないですか? そんな銃をぶっ放すような話ですかい?」
「いや、興味本位で訊かれても困るんだよ」
下士官は腰のあたりに手をもぞもぞと這わせながら答えた。