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水深800メートルのシューベルト|第1170話

 その態度を見たせいか、報告を聞いたからなのか、ボブの上官は苛立ったようだった。
「助かるんだろう? 君、ブドウ糖を飲ませるか注射はしたのかね?」


 クックはさっぱりわからないといった風に眉を挙げた。
「いえ、助けますか?」
 上官はそれを聞いて怒りを見せた。
「助けるべきだろう! 早く注射したまえ」


 衛生兵は渋々、救急カートの引き出しから注射器と薬剤の入ったプラスチックのアンプルを取り出した。
「きっと、自殺ですよ。インスリンは空だったんですからね」
 言い訳するように、ぼそぼそと呟いていた。


「事故かもしれんだろ? いずれにしても、君は衛生兵だ。君の義務を果たしたまえ!」
 彼はボブを指さして強い口調で言った。


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