「びょ、病院に連れて行こうよ。誤って銃が暴発したって言えばいいよ。それに、助かるかもしれないよ?」
僕は震えながらそう言った。しかし、自分でももう人ではないと思っているのに、病院で治療を受けさせようと勧めることは馬鹿馬鹿しいという心の声が聞こえてきて、口から発する言葉は軽く、宙を漂って消えるシャボン玉のような感じがした。
「嫌よ、絶対に嫌! あの女には、これまで散々な目に遭ってきたんだから。今日だって、何人も客を取らせて……。そのうちの一人には首を絞められるし…、もう限界。あいつなんかいなくなって良かったのよ」
彼女は叫ぶように言った。
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