(僕は、名前を変えなかった理由をメリンダのためのように言ったが)実際は、名前を変えると、自分が違う人間になってママと永久に離れてしまいそうだったからなのだが、目の前の彼女を見ていると、口が勝手にそう伝えていた。
「ふうん、私は、あの女と違うファミリーネームになれれば嬉しいけどね」
彼女は、ピザを持ったまま、肘を鉄のテーブルにつけた。
「メリンダ、ママとうまく行ってないの?」
そう言うと、彼女の顔色が変わり、声を荒げた。
「あんた、トレーラーハウスの時、私の様子を見て、何も感じなかったの? 鈍感ね」
彼女は、僕を侮辱しているようだった。
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