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水深800メートルのシューベルト|第158話

       (10)

「起きなさい、アシェル……。ケーブルテレビ見ながら寝たのね。いけない子ね」

 僕は、オリビアさんの声にびっくりして体を起こした。頭がぐるぐるして、もう少し寝ていたかった。目の前のいかめしい顔をしたおじさんがスーツ姿でニュースを喋っている映像が消えると、パパのことを忘れるためにテレビをずっと見ていたことを思い出した。

「夜中まで起きていたの?」
  オリビアさんは、ボウルにザーッとコーンフレークを流す音を立てていた。

「眠れなかったんだ。それで……」
「そう。いつもと違う所で寝るって難しいものよね」
 お婆さんは、ボウルにミルクを注ぎながら、僕に顔を洗ってくるように言った。

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