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水深800メートルのシューベルト|第1047話
ロバートは二人が居なくなると、陽気な声で話しかけてきた。
「な? 行き当たりばったりの航行だったろう? でも、何も心配する事はなかったな」
僕は頷いて、ワッセルマンの方を見た。
「艦長がああ言ってるんだ。早く持ち場に戻りなさい」
目から先ほどまでの動揺は消え、元の歩哨の顔になっていた。
「はいはい、発令所の出入りが解禁になったら教えて下さいね、上級兵曹長殿」
ロバートは艦長の説明に納得したのか、すっかり水平に戻った通路を引き返した。僕も、ワッセルマンに敬礼をして、勤務場所に向かうことにした。