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水深800メートルのシューベルト|第1042話

「ちぇ、命令ですか」
 ロバートの皮肉っぽい言い方が合図になったように、再びハッチが開き、今度は艦長のカールトン大佐が副官を連れて出て来た。僕ら三人は一斉に背筋を伸ばし、普段は省略されている敬礼を行った。


「ここで何をしているのかね?」
 副官が艦長におもねるように、先回りして尋ねた。僕もロバートも黙っていると、カールトン大佐はワッセルマンの方を見た。
「ここに人を近づけないように命じたはずだが?」
「申し訳ありません」


 怯えていた彼は、生気を注入されたようにブルっと身を震わせ、職務に忠実であろうとはっきりした声で謝罪した。   

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