水深800メートルのシューベルト|第673話
最後はデッキの上で、止まって整列し、その場で激しく足踏みをして、ようやくランニングの時間が終了した。息も整わないうちに、艦の係留を命じられた。二三人がロープを渡されて船の上に残り、僕たちは駆け足でタラップを渡り、陸に見立てられた側へと移動した。うっかりすると、両脇のチェーンの手擦りだけが頼りのタラップからからさえも、落ちそうになる。
岸で待っている僕たちに、船側の仲間からロープが投げられる。最後列にいた僕は、それを拾って、陸側にあるボラードに巻きつけなければならない。ロープの端を持ってボラードまで走り、ロープをひと巻きして、再び列に戻ろうとして体をひねったところ、足の裏に鋭い痛みが走り、思わずバランスを崩した。ボラードにロープを絡ませる時にロープを踏んだのだ。ボラード周りを半周したところで転倒してしまった。