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水深800メートルのシューベルト|第1020話

 ボブは顔をしかめて周囲を見回してから言った。
「そう簡単に拾えるわけないだろう。あまり艦長からの発表以外の事を言うのはご法度だが、毎日波と魚の音ばかりだぜ。本当に何もなくてつまらない仕事だとは思うよ。ひたすら来るのを待つだけだからな」


「そうそう、耳を澄ませて無音の曲から小さなノイズを拾ってみろよ」
 タイロンも訳知り顔で続けた。
「砂鼻の中で小さなピアス……、いや、砂金を探すようなものだね。しかも慣れない奴なら聞き逃すような小さな音を」


「へえ、よく眠くならないな。俺がその任務だったら音を探しているうちに眠れそうだぜ」
 ロバートは、休憩時間に限って眠れず、魚雷発射管のメンテナンスになると途端に眠くなり、一人の時はへたり込むのだと告白した。

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