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水深800メートルのシューベルト|第767話

「よし、バンドはしっかりと固定するように」
 もう黙って見ていられなくなった教官は、時計を見て急かすように言った。僕らは、横向きになったダカーリの下に担架を押し込み、彼を仰向けに寝かせ、上半身から順に、バンドで固定した。


「ハハ、ミノムシバッグワームみたいんだな。今ならこうしても抵抗できまい」
 フェルマンがからかって、腋をつついたが、教官の鋭い視線に気づくと、すぐにやめた。


「では、搬送します」
 前にいた男がそう言い、後ろにいた僕と二人で運ぶことになった。


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