「この野郎、覚悟しやがれ!」
ダカーリがそう怒鳴った時、誰かが怒り狂う彼の脇に腕を入れて止めた。赤い光の中に浮かび上がったのは、下敷きになっていたフェルマンの顔だった。彼は、顎に汗や水蒸気を滴らせながら、ダカーリに負けじと声を張り上げた。
「おい、やめろって! アシェルだってわざとやったわけじゃないんだから」
「うるさい、今度という今度は……。いつもいつも足を引っ張りやがって。ギャングのくせに!」
フェルマンが、振り切られないようにしっかりとダカーリを押さえつけて「訓練中だぞ! やめろって」と叫んでいた。
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