しばらく、二人とも黙ったままで、立ち尽くしていた。長い静かな時間のあと、お婆さんは悲しげな声を出した。
「そこまであの子がジュリアさんを追い詰めていたのね。こんな状態のママだったら、少し距離を置いた方がいいかもしれないわね。あなたの生活と心が穏やかになるまでの間」
僕は、壁から体を晒して、ママに見えるようにした。でも、ママは僕に気づかず、オリビアさんの顔をじっと見ていた。
「僕、オリビアさんの家で待っている。いいでしょ? お婆ちゃん」
別のことを口にするつもりだったのに、ママがこっちを見ていないので、振り向いてくれそうなことを口にしていた。
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