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水深800メートルのシューベルト|第1167話

 タイロンは、希望を見出し方のように嬉しそうな顔を見せたが、セペタは悲しみの殻に閉じ込められたままのように、表情を変えなかった。


 僕は、ボブの背中に両腕を回して持ち上げ、ゆっくりとトイレの外へ引っぱった。衛生兵とタイロンが布担架を広げて待っていた。そこへ彼の体を引き摺るようにして載せようとした。ボブだった男の体は全く動かず、粘土細工のようにぐにゃりとしていて、とても生きているとは思えなかった。そのシャツをびっしょりと濡らした汗の気持ち悪さだけが、彼が生きていることを表現しているように思えた。布担架の端に彼の足首が引っ掛かっていたので、セペタに目をやると、ようやく彼はこの世界に舞い戻ったかのように眉を動かし、ボブの足を持ち上げていた。


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