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水深800メートルのシューベルト|第65話

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 ピヨーピヨー、ピピピピ
 耳に刺さるような鳥の声で、(僕は)ここがママのアパートじゃないことを思いだした。
 怒られる! その理由は分からないけれど、ベッドから飛び起きた。
 部屋は暗いままで人の気配はなかった。トレーラーのベッドを見たが、しわくちゃのシーツが隅っこに固まっているだけで、僕が寝ていた跡が少し凹んでいた。
 まだ帰っていないのかな? 僕はおそるおそる窓を開けて首を出してみる。車は一台も停まっていなかった。近くにある木に青い鳥が停まっていて、ピピピとさっきから耳に障る声を放っている。
 叩かれる心配はなくなったと安心すると、お腹が空いているのに気づいた。冷凍庫を覗くと、テレビディナーの箱。開けてみると、昨日と同じビーフシチューと豆でがっかりした。それを戻して、テーブルを見ると袋の開いたポテトチップス。手を突っ込んで何枚か掴んで口にいれる。思ったより柔らかくて、油臭い嫌な臭いが鼻に広がった。

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