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失恋雨雲|爪毛の挑戦状からはちょっと離れますが……
「お待たせしました、ウーバークラウドです」
炎天下の渋谷ハチ公前。僕は小さな雨雲、クーちゃんを連れて、依頼主の痩せた女の子に声をかけた。彼女の目は真っ赤だった。
「私に雨を降らせて!」
僕らは、水が不足するところに雨雲を届けるのが仕事なので、意図が分からず言葉に詰まる。
「失恋したの。お天気良いと雰囲気出ないでしょ!」
仕方なくクーちゃんに目配せをすると、彼は女の子の頭上から霧雨を撒いた。冷えた空気が僕にも心地良く流れてくる。
「もっと激しく! 恋を洗い流して!」
雲は豪雨モードに入った。周囲には人だかり。
よく見ると、彼女の薄いブラウスがびしょ濡れで中のブラジャーが透けている。
これでは『セクハラクラウド』になってしまう。慌てて彼を止めた。
「クーちゃん今日は頑張ったね。この辺で」
僕が家まで送るというと、彼女は笑顔になった。
「優しいのね」
僕は、透けたブラの周りをクーちゃんで巧みに隠しながら、そそくさと追い立てた。
~~編集後記~~
すみません。今回も爪毛さんのお題からは外れます。構想があった作品から作っております。爪毛さんの挑戦状、なかなか良いのが思いつかなくて……。みなさんよく対応できるなと。
というわけで、クーちゃんシリーズになりました。元ネタはこちら。