水深800メートルのシューベルト|第1091話
「いいんだよ。もう平気さ、ロバート」
僕は彼の目を見た。暗がりに見える緑の目は微かに震えているようだった。彼は頭を掻いて、
「お互い、フラストレーションが溜まっていたようだな。俺も怒り過ぎたな。何しろ、アシェルが歯向かってくるとは思わなかったから驚いちまった」
と、ボブの肩越しに首を伸ばしてこちらの様子を窺うようにしていた。その表情は照れたようでもあり、暴力的になった事への気まずさを感じているようでもあった。
「呼吸は速くないか、アシェル?」
セペタがゲイル先生に指示されていたのか、気遣うように訊いた。