水深800メートルのシューベルト|第1015話
「休憩時間中にイヤホンをする気になれるなんて羨ましいよ」
ソナーマンは勤務中、敵艦の音を拾う業務があるので、ヘッドホンが欠かせない。ゲームと聞いて耳を塞ぐ事が真っ先に浮かんだのだろう。隣に居た眼鏡越しに神経質そうな目を覗かせていた男も顔を上げ、思い出したように言った。
「あ、君は、艦内でピアノを鳴らしたアシェル・スコットじゃないか」
眼鏡の男は、自分をボブと名乗り、隣の男をタイロンだと紹介しながらクスクスと笑った。
「どうも愚か者です」
ロバートが僕の頭を押さえて言った。
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