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水深800メートルのシューベルト|第1010話

 寝心地はやはり最悪だった。背中に痛みを感じる度に、ロバートを恨めしく思った。うとうと眠っては痛みに目が覚める、その繰り返しにすぐにうんざりしてしまった。座ったり寝転んだりを繰り返して時間を潰した挙句、怠くて重い体を引きずるようにしてラッタルを昇った。少し早いが食堂に向かって、そこでゆっくりと食べよう。食欲はなかったが、食べずに勤務をして倒れると、ゲイル先生に叱られるのは目に見えていたからだ。あの人は心配症だ。僕が過換気を起こさないかしょっちゅう目を向けていて、
「ザナックス(抗不安薬)飲むか? 休むか?」と訊いてくる。

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