「それで、この子をもう少し預かってもらえませんか? 勿論お礼はしますわ。何しろこの子は、落ち着きがなくて、甘えん坊で……」
オリビアさんは、ママが言い終えるのを待たなかった。
「この子は、いい子ですよ。それに、父親の葬儀に参列させてあげないんですか?」
「させてやりたい気持ちはありますけど……、できるだけ早く済ませたいんです。この子が走り回ったり、どこかへ行ってしまったら……」
「ジュリアは、疲れているんだ。子どもの面倒まではみられないでしょう」
コリーニさんの声は大きくなかったが、冷たく、突き刺すような調子だった。
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