「このマザコン野郎が、バーナード構わねえ、ぶん殴れよ」
メイソンはバーナードに震える声で命じたが、彼は車の方に向かって、僕から怯えた視線を切らさないようにして、一歩ずつ離れて行った。
「もう一度言ってみろ! お前ら殺して僕も死ぬんだ」
このムカつきとつき合うくらいなら死んだほうがましだ。彼の目は怒りに燃えていたが、みんな死ぬと思うと、もう怖くなかった。僕は何かに導かれるまま、今度は外さないよう、狙いをメイソンに定めて引き金を慎重に引いた。
カチャ。
一瞬の静寂の中で、ハンマーの起きる音だけが耳に響いた。
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