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水深800メートルのシューベルト|第763話

 突然、離れた場所にあるコンソールの一つから「プシュー」と白い煙霧が噴き出てきた。僕は思わず「ワッ!」と声をあげた。エウヘニオが、担架搬送係以外の者を率いて、消火器を一斉に煙の源に向けた。それと同時に、僕らに指示を出した。
「君たちは下の医務室まで、搬送しろ」


 僕は、担架を持つ前の二人に引っ張られるようにしてコンソールの間の狭い通路を出た。しかし、CICのハッチを出る時に前の二人が戸惑って動けなくなった。二人が担架を持ったまま狭いハッチをくぐり抜けられず、担架を傾けたり、広げた担架を折ろうと試みたりしていたのだ。


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