僕が列の並んでいる訓練生の前を通ると、銘々が手を伸ばしてロープを掴み後方へと送っていた。誰かが肘で強く突いてきたので、また転びそうになった。突いてきた方を見ると、ダカーリの尖った耳が見えた。彼は、こっちを見ようともしていなかった。横顔から覗かせる口元は、笑みを浮かべているようだった。その後ろにいた男が、聞こえよがしに言った。
「おい、ダカーリ。お前も殺されて埋められるぞ。ここらの湖の近くへ」
心に何かが刺さったような感触があったが、聞こえないふりをして、最後列まで行き、全員がロープを手にしているのを確認した。
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