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水深800メートルのシューベルト|第68話
(液体がホースから出てきたので、僕が)近づいてみると、それはクラムチャウダーのような白くてドロッとした粘液だった。そこから、酸っぱい臭いが漂ってきたので、僕は思わず鼻をつまんだ。
ハンドルにもたれかかるようにしていたパパは、ようやく顔を上げて僕を睨むと、車のドアを開け、ヨロヨロと近寄ってきた。
「ええと、坊主。あ、あ……何だっけ?」
パパは頭を押さえながら思いだそうとしているようだった。白い髭に何か白い塊がついていた。
「アシェルだよ、パパ」
「ア、アシェル、お前は、どうしてここにいるんだ? ママの所に行ったんじゃないのか? ええと、ホリスターだっけ、アザートンだっけ?」
パパは頭が混乱しているようだった。