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水深800メートルのシューベルト|第500話
バーナードが立ち上がって手を伸ばし、その中の、金髪で顔にそばかすのある子に声をかけた。
「ハイ、今度チームでパーティーを開くからさ、来ないか?」
彼女たちは、バーナードから目を逸らし、何も言わずにそそくさと立ち去ってしまった。
「クソッ、メイソンがいなくなった途端に、これだ」
バーナードは腰かけて両手を広げた。
「やめておけよ。あいつが戻って来るまでおとなしくしていようぜ」
ブライアントが窘めた。
「はい、中尉殿」
バーナードは、兵士のように手を顔の横に当てて、真面目ぶった表情を作ったが、どこか締まりのない顔つきだった。ブライアントはそれを見てもクスリとも笑わなかった。