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水深800メートルのシューベルト|第1176話

 タイロンは小さく頷いたが、その手がガタガタと震えているのに気づいた。頬からは赤みが消え、唇も青ざめていた。目の焦点がどこにも合っておらず、宙を彷徨っていた。衛生兵のクック上等兵曹が、意見を述べた。


「いや、タイロンはやめておいた方がいいと思います。今の彼には耐えられないでしょう? 同僚の死に傷ついています。休ませた方がいい」
 シーガルさんは、部下の震えをよく観察すると、うんざりしたように目を細め、僕に告げた。


「そのようだな。では、アシェルとそこの君。同行するように。私は艦長を呼んでくる」
 僕達に遺体をくるむよう指示をして、この場の責任者はそそくさと医務室を出た。


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