水深800メートルのシューベルト|第1157話
顔を上げると、さっき、白状をした男が目に入った。彼は、チェーンに手をかけたまま、人の流れを邪魔しているのを意に介さないように、茫然として様子で立っていた。立ったまま、じっと魚雷管を見つめていた。先生がまだそこに居るかのように。その顔は青ざめていて、唇が震えていた。下士官が迷惑そうな顔で彼を避けて通り過ぎたが、キャットウォークは狭いので、男の体はチェーンの柵からはみ出そうになっていた。それでも動かず、自分の発言の責任を果たそうと、そこから動かなかった。
「いつまでも終わった事に……」
「シー!」
ロバートが苦虫を噛み潰したような顔で呟くと、周囲の誰かが、黙るように息の圧力をかけてきた。もう発声が許可された時間は終わったのだ。