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水深800メートルのシューベルト|第1052話

「いや、尋ねたいんだが、医師というのは守秘義務があるんだろう?」
「ええ、勿論です」


 二人の人間の声は通路に響いてこちらまで聞こえていた。返答した声はゲイル先生に間違いなかったので、奥にあるここから見えない場所――きっと診察デスクの椅子――に座っているのだと思った。


 診察を受けているのは誰だろう? 声の調子から深刻そうだったので、いけないと思いつつも僕は、通路に人がいない事を確かめてから、首をそっと伸ばし、ハッチの奥にあるグリーンのストレッチャーに座っている人物の顔を見ようとした。カールトン艦長だった。

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