水深800メートルのシューベルト|第1120話
「でも……、こうなったらせめて、あの艦長に抗議をしてやりたい。艦を危険に晒したのは、彼に決まっていますからね」
「いや、お気持ちはわかりますが、それは陸に戻ってからでもいいじゃないですか。今は、みんなで協力してこの窮地を脱することを考えなければ……」
「脱せられなかったら、誰が彼を裁くんですか?」
男は苛立ったような声を出した。
「責任を取ってもらわないと。俺達乗組員やその家族の人生を狂わせたんですからね」
ゲイル先生は、口を挟まなかったようだ。