うだつが上がらずもうすぐ退官させられると陰口をたたかれているとは言え、大尉にまで登りつめたわけだし、そもそもドビーよりも遥かに上の階級だ。それに何を言っても、彼は微笑んで「うん、君の言う通りだよ」と答えるだけだろうから、からかう側にとっては張り合いがないのだと思う。ドビーも気勢を削がれたのか
「ここには活気がありますからね。退屈もしないで済みますよ」
と、最後の方はぼそぼそと聞き取りにくい声で言っていた。
「しかし、どうしてオーストラリアなんですかねえ? 同盟国の義務でもあるんですか?」
僕は、話題を変えることにした。
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