発令所の入り口のハッチは開け放してあり、そこには辛子色のパーカーや青いシャツの乗組員がひしめき合っていた。
ドビーはその背中を押しのけて
「クラムジー、こっちへ来い」
と、振り返ることなく手で合図した。仕方なくハッチの外まであふれる人の群れを掻き分けながら進むと、水面から遠く離れて使わなくなった潜望鏡が見えた。そこで、更に潜望鏡の向こうに行ったドビーを追うかどうか迷った。
潜望鏡の向こうにある小さなテーブルは艦長用だが、艦長は不在で、代わりに何人かの士官が占拠し、その向こうの注水制御のコンソール台を凝視していた。
第982話へ戻る 第984話へつづく
第1話に戻る