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水深800メートルのシューベルト|第488話

「ママ、飲み過ぎよ。アシェルは小さかったんだから、無理言わないの」
 お湯を注いでいたメリンダが、ため息まじりに言った。


「泥棒猫は黙っていな。また、ぶん殴られたいのかい。ジョーンズとも寝たくせに、あんたは小さい頃からそういう子だよ。お前が、あの人に毒でも盛ったんじゃないのかい?」
 メリンダは、震える手で、カップに湯を注いでいた。


「ぼ、僕が悪かったんだよ、おばさん。僕がパパのお酒を止めていれば……」
 ママと次に会った時に、許してもらえるまで言おうと練習していた台詞を口にした。

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