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水深800メートルのシューベルト|第1009話
こんな時の都合の良い場所として存在する下層の格納庫には、二三の寝床にありつけなかった乗組員が、大きな鼠のように気配を殺して小さく丸まっていた。僕は、人から離れた場所を選び、支給品の毛布を魚雷の載せられていないラックに敷いたが、床の硬さはどうしようもなかった。その上に上着をかけて寝たが、すぐに背中が痛くなった。
ロバートは食事もしないで勤務に就くつもりか、と訝しんだが、すぐに他人の事情はどうでもよく、問題は僕に厄災が降りかかってくるかどうかだと思い直した。