「なんだとこのクソガキ! ママは働いているからだと? 俺様が働いていないっていうのか!」
(パパの)緑の瞳は、僕を吸いこもうとするかのように、大きく開いていてしかも深かった。
「僕、そんな事言ってないよ……」
口を開いたが、口から出るのはヒューヒューという空気だけで、声が、緑に吸い込まれて声が出てこない。後ろに下がると、パパはますますいきり立った。
「俺様はなあ、昔は食肉工場で汗水たらして働いていたんだぞ。嘘だと思うのか!」
と怒鳴り、車の後ろのドアを開けてごそごそと何かを探し始めた。
しばらくして、手に大きなナイフを持って再び僕の前に立った。
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